無人島を丸ごと基地に…「国内最大規模の事業」馬毛島 作業員はピークで4000人以上 業者「死に物狂い」
2023/04/11 11:00

商業施設が建ち並ぶエリアのほど近くにあるケーソンの製作現場=7日、鹿児島市新栄町
商業施設が立ち並ぶ鹿児島市新栄町や谷山港の沿岸部を進むと、海上で建設中の巨大な構造物が目に入る。防波堤や岸壁の土台となる「ケーソン」(大型の鉄筋コンクリート製の箱)の製作用台船だ。
ケーソンは幅20メートル、長さ30メートル、高さ20メートル前後。谷山港の2カ所では10階建てビルに相当する高さ30メートルほどの鉄筋の足場がそれぞれ組まれ、作業員が慌ただしく行き交っていた。近く夜間も含めた24時間態勢で製造する。
型枠が自動的に上昇してコンクリートを固める特殊な工法を採用。ケーソン1基当たりの工期を従来の4カ月から1カ月に短縮できる。従来方式と合わせ、3000~4000トン級のものを3年かけて70基ほど造る計画だ。関係者は「国内ではまずない規模の事業。全国から500人近く集まっている」と話す。
県や関係者によると、工事関連の港湾利用は、鹿児島港でケーソン製作3カ所、重機の組み立てヤードなど7カ所。このほか米ノ津(出水市)、鹿屋(鹿屋市)、大泊(南大隅町)、西之表(西之表市)の4港に使用許可を出している。
さらに住吉(同市)、山川(指宿市)、串木野(いちき串木野市)、枕崎(枕崎市)の4漁港も使用。大量の資材や重機を置いたり、数トン~数十トンのコンクリートブロックを数万個造ったりする。
防衛省は本年度、馬毛島に資機材を運び入れるための仮設桟橋の完成を急ぐ。3月下旬から、港湾施設とともに整備に着手。第1段階である基礎石(捨て石)の投入が島沿岸で続き、その後、ケーソンなどを置いていく。
仮設桟橋は東部に3本造り、長さ約540~640メートル。うち2本は1年後に完成予定。作業員数も1年後にピークとなり、3000~4000人以上が入る予定だ。
県砕石協同組合連合会によると、捨て石の2月の出荷量は基地工事に伴い、前年同月の約10倍の約5万8700立方メートルに上り、1カ月で直近21年度の年間出荷量の約7割に達した。「出荷量が減少傾向にある中で大きな需要」(事務局)という。
ただ、現場の人手や機材は長引く不況で不足している。重機や燃料、人件費の値上がりで利益は高いとは言えず、今後、特需が続くかも見通せない。捨て石の投入が完了しないと、次の工程に進めず、工事全体の遅れにつながる。
防衛省は滑走路や誘導路は2年後、自衛隊最大の護衛艦が入港可能な港湾施設は4年後の完成を目指している。砕石協同組合連合会の中馬浩会長は「求められる数量に対し、あまりにも期間が短い。うれしい話だが、死に物狂いだ」と話した。
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