新県議の74.5%が運転延長に「賛成」 4年前の9.8%から大幅増…市民の多数は「どちらともいえない」 川内原発

 2023/04/15 07:30
九州電力川内原子力発電所(薩摩川内市)
九州電力川内原子力発電所(薩摩川内市)
 9日投開票された鹿児島県議選で当選した51人のうち、南日本新聞の立候補者アンケートで九州電力川内原発1、2号機(薩摩川内市)の20年運転延長に「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した議員は、地元の薩摩川内市区3人を含む38人(74.5%)に上った。4年前の前回選挙時の5人(9.8%)から大幅に増加。市民の間には延長の賛否を迷う声もあり、反原発団体は延長ありきの議論を懸念する。

 38人の党派別は自民33、公明3、無所属2。落選者を含む全候補者77人で見ても、53人(68.8%)が賛成派だった。自公政権はエネルギー資源の調達環境の悪化などを背景に、原発への依存度低減から最大限活用する政策に大きく転換。九電は昨年10月、川内2基の運転延長を原子力規制委員会に申請している。

 前回県議選時の「どちらともいえない」から賛成派に変わった一部の県議は今回の当選後、取材に対し、規制委の認可が前提とした上で「ウクライナ危機を踏まえたエネルギーの安定供給や脱炭素のために原発は必要」と説明した。

 一方、南日本新聞が8、9日、県議選に投票した薩摩川内市の有権者192人に運転延長の賛否を尋ねたところ、「賛成」70人、「反対」28人、「どちらともいえない」79人だった。

 「どちらともいえない」の理由では、「原発がないと困ることも多いが、安全面も心配」(40代)、「代わる電力が不十分」(70代以上)などの意見があった。

 川内原発建設反対連絡協議会の鳥原良子会長は「市民の賛否が明確でない中、延長を前提に議論が進む恐れがある」と懸念を示す。