最後まであきらめず闘病「シンシアの分まで走り続ける」 努力家、盛り上げ役…歴代最強・神村学園高の仲間ら20歳・バイレさんの死悼む

 2023/04/21 10:31
全国高校総体・女子1500メートルで優勝したバイレ・シンシアさん=2019年8月5日、沖縄県のタピック県総ひやごんスタジアム
全国高校総体・女子1500メートルで優勝したバイレ・シンシアさん=2019年8月5日、沖縄県のタピック県総ひやごんスタジアム
 「歴代最強」と呼ばれ、2年連続で全国2位となった鹿児島県の神村学園高女子駅伝部。ケニア人留学生のバイレ・シンシアさんは、その中心選手だった。チームメートたちは「向上心と思いやりにあふれていた」と口をそろえ、20歳でこの世を去った友を悼んだ。

 バイレさんたちは、指宿路を走った2020年の全国高校駅伝県予選で全国1位をマーク。留学生がいるチームの高校最高記録1時間6分4秒は今も破られていない。

 有川哲蔵監督は「練習や大会では率先して仲間のペースメーカーを務め、休みの日も熱心に走っていた。高校記録は彼女の功績だ」とたたえる。チーム全体を思いやる心が抜きんでていたという。

 先輩をまねて、先頭で引っ張る留学生カリバ・カロライン主将は「練習の取り組み方を教わった」とチームの底上げを目指す。

 当時チームメートの黒川円佳さん=三井住友海上女子陸上部=は「努力家で、すぐに日本語で会話できるようになった。ケニアのダンスで場を盛り上げる明るい性格だった」と懐かしむ。4月上旬、シンシアさんから「ケニアで、一緒に練習した時に使おうね」と現地のお札をもらった。「最後まで諦めずに闘病したシンシアの分まで走り続けたい」と力を込める。

 有川監督にとっての最後のお見舞いは、亡くなる前日だった。スマートフォンで仲間の伝言を見せるとシンシアさんは喜び、自身もメッセージを録画した。「みんな応援してくれてありがとう。元気になってます」