「勇者池崎」の冒険物語。始まりはタバコの不始末で工場を2度も全焼させた父から。お笑いの基本を体を張って教えてくれ…なわけない
2023/04/30 20:30

ダメだ! 意味分かんねえ!
この連載の打ち合わせの際、担当者さんに「池崎さんの事を知らない人でも分かりやすい方が良いと思います」と言われ、確かにそうだ、一発目は、まずは自己紹介からいこう!と息巻いて書いたが、この上のない分かりづらさだ。自分でもなんでこの仕事してるのか、なんで「神」と暮らしてるのか不思議になってきた。
よしっ! この不思議を解き明かすべく、自分の記憶をたどる冒険に出よう。勇者池崎の冒険物語、これでいこう。読者の皆さまは冒険の旅のパーティーに加わってくれれば幸いです。それでは始まり始まり。
*
僕の物語は、鹿児島県鹿屋市から始まった。生まれ育った家はとにかくボロく、木とトタンで形成されており、隙間風も、雨漏りも当たり前の手作りみたいな家だった。小学生の時、僕の家を見た同級生に「この家、5分あれば更地にできる!」と言わせたほどだ。とんでもない事言いやがる。
家族構成は、父、母、兄、僕の4人。父はタバコ農家をやっており、タバコを育て収穫し、その葉っぱを小さな工場で乾燥させる自営業を営んでいた。家はボロかったものの暮らしに不自由はしてなかった。ご飯も食べられていたし、ポテチもファミコンもあった。
僕が保育園の頃、そんな池崎家に事件が起きた。工場が全焼したのだ。ヘビースモーカーの父が工場でタバコを吸って、それが乾燥した葉っぱに引火したとか。どんだけ煙吸いたかったんだよ。一気にタバコ何百本分吸ったんだ? ぜいたくしすぎだろ。
しかしヘビースモーカーの父はここからがすごかった。全焼した工場を建て直したのだ。そして心機一転、新たな工場で、新たなタバコに火をつけ、吸い、新たな乾燥葉っぱに引火させ、もう一度、タバコ何百本の煙を吸ったのだ。スゲーよ! スモーカーが過ぎる。
お題「こんなヘビースモーカーは嫌だ」
父「できました。タバコ工場2回全焼させてめっちゃ煙吸う」-じゃないよ。
僕はこれ以上のかぶせの笑いを人生で見たことも聞いたこともない。かぶせ=ボケを重ねるのはお笑いの基礎。今思えば父は僕に体を張って笑いを教えてくれたのかもしれない…なわけあるかい! その後、父はタバコをやめた。つづく。
さんしゃいん・いけざき氏 1981年、鹿屋市生まれ。お笑い芸人。テレビ東京「おはスタ」、NHKラジオ「小学生の基礎英語」出演中。日本テレビ系「嗚呼!みんなの動物園」では本名の池崎慧として出演、預かり猫のボランティアを行っており、愛猫家としても注目されている。著書に「空前絶後の保護猫ライフ! 池崎の家編」(宝島社)。
(連載 サンシャイン池崎の「イケザキクエスト第1話」より)
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