工事関係者が急に増えたら生活に不安? イメージダウン懸念、馬毛島基地賛成派が市に対策求める

 2023/04/26 11:45
訓練基地建設が着工した馬毛島。画面奥は種子島本島=西之表市の馬毛島(本社チャーター機から撮影)
訓練基地建設が着工した馬毛島。画面奥は種子島本島=西之表市の馬毛島(本社チャーター機から撮影)
 鹿児島県西之表市馬毛島で自衛隊基地整備が始まって3カ月半がたった。工事関係者の急増で生活への影響を懸念する声が高まる中、静観の構えだった賛成派の政治団体「西之表市と馬毛島の未来創造推進協議会」が25日、市に対策を求める要望書を提出。市民の不安解消に向けて動き出した。基地整備に対する印象が悪化しかねないとの危機感がにじむ。

 幹部ら6人が同日、市役所を訪れ、防衛省との協議推進や情報提供を八板俊輔市長に求めた。約40分の面会は市側の意向で完全非公開。協議会によると、不安解消の具体策として、防犯灯を設置する方向で検討しているとの説明があった。

 協議会が表立った動きを見せるのは、八板市長に基地整備への賛意を表明するよう求めた昨年8月以来。その後、馬毛島の市有地売却や市道廃止など、市が防衛省の意向に沿う対応を取ったため、「実質的な協力姿勢」とみて静観を続けていた。八板市長は現在まで基地整備の賛否を明言していない。

 基地本体は今年1月に着工し、3月には港湾工事も始まった。市のまとめによると、種子島に滞在する作業員らは4月1日時点で約810人。2カ月で約300人増え、さらに加速度的に投入される見込みだ。工事がピークとなる来年2月ごろは、必要な作業員は3000~4000人に上るとみられている。

 市民からは宿泊施設不足や生活ごみの処理、子どもの安全確保などを懸念する声が上がる。要望書を提出した鮫島忠雄会長は「市街地に思った以上に作業員がいる。市が対応に動いていることは分かったが、市民にも情報を流してほしいと伝えた」と話した。
 市は2023年度当初予算に、基地整備に伴う米軍再編交付金約17億1500万円を計上し、45事業に充てている。協議会は今後、交付金の使途を検証する会議を開く予定だ。