「親の育児放棄で弟や妹の世話…」 増えるヤングケアラー 進学、就職、結婚…悩み深く

 2023/04/28 16:46
ヤングケアラーの支援について意見を交わす参加者=姶良市の姶良公民館
ヤングケアラーの支援について意見を交わす参加者=姶良市の姶良公民館
 本来大人が担う家事や家族の世話を日常的に担う「ヤングケアラー」の支援について考える交流会が、鹿児島県姶良市の姶良公民館であり医療福祉関係者が参加した。障害者の兄弟姉妹を支援する「鹿児島きょうだいの会」の副代表で作業療法士の益満ひろ士さん(28)が講演。「支援に正解はない。子どもの夢を大切に、一人一人に寄り添ってほしい」と伝えた。

 益満さんは、身近な人の世話や家事を手伝う子どもの中には、短時間であっても負担に感じているケースがあると指摘。病気を抱える妹がいる自身の体験を振り返りながら、きょうだいの悩みには(1)障害を持つ兄弟姉妹の存在を周りに明かすかどうか(2)大学進学や就職の進路選択(3)結婚(4)両親が亡くなった後はどうするのか-があると説明した。ヤングケアラーを支える心構えとして、家族のためにケアしていること自体は否定せず「本人の思いを尊重することが大切」と述べた。

 講演後の意見交換では「親のネグレクト(育児放棄)が原因で弟や妹の世話をしている」といった事例の報告があった。子どもが相談しやすい環境の整備や関係機関との早期の連携、スクールカウンセラーなど専門的な人材を増やす必要性が課題に挙がった。「ヤングケアラーに関する広告が、大変、かわいそうといったマイナスのイメージを与えているのではないか」との声もあった。

【ことば】ヤングケアラー

 年齢や成長の度合いに見合わない、本来大人が担うべき家事や家族の世話を日常的にしている18歳未満の子どもを指す。負担は多岐にわたり、学業や人間関係、健康に影響することが懸念される。鹿児島県が2022年秋に実施した実態調査では、小学6年生と中高生9441人が回答。世話をしている家族がいると回答した割合は小学6年生9.4%、中学生5.7%、高校生3.8%だった。世話の対象は、きょうだいが最多だった。