【子育て支援策 宮崎の先進例】15歳未満人口が10年で1割増えた三股町 継続は力…都城に隣接する地の利に加え「実を結んだ対策」とは

 2023/05/05 16:00
三股町の子育て支援センターで子どもを見守る有村美保さん(左)。「子育て環境の充実は移住の決め手の一つ」と話す=三股町樺山(宮崎日日新聞提供)
三股町の子育て支援センターで子どもを見守る有村美保さん(左)。「子育て環境の充実は移住の決め手の一つ」と話す=三股町樺山(宮崎日日新聞提供)
 少子化に歯止めをかけるため宮崎県内の市町村がさまざまな支援に取り組む中、県西部の三股町では対策が実を結び、子どもが増加している。県内で2番目に人口が多い都城市に隣接し、県都・宮崎市へも車で1時間弱という立地も影響して、ベッドタウンとして発展。2022年度の人口は2万5968人と、10年度比で3%増加している。

 町福祉課によると、町内で子育て支援の取り組みが始まったのは1960〜70年代で、乳幼児の医療費助成や児童館の建設などが進んだ。医療費助成は小中学生にも拡充され、現在は、外来が1診療報酬明細書当たりの自己負担が1カ月200円、入院や薬代は無料となっている。

 16年度からは子どもの一時預かりや、習い事への送迎を支援する「ファミリー・サポート・センター事業」の利用料の補助を開始。23年度からは中学生の給食費を無償化した。

 手厚い子育て支援により、子育て世帯の移住も進む。5年前に移住し、1〜7歳の4人の子どもを育てる同町の主婦、有村美保さん(41)は「行政の支援も移住のきっかけになった。子どもが小さくこれからお金がかかるので、医療費助成などは助かる」と話す。

 地理的な条件も重なり、22年の年少人口(0〜14歳)は、10年と比べて約10%増え4500人となった。一方で宅地化が進んでいるのは都城市に隣接する西部が中心で、東部の山間地域では過疎化が深刻。山間部の梶山小、長田小校区に移り住み、住宅を新築すると奨励金を出す制度などを続けるが、解消されていない。

 町企画商工課は「効果はすぐに出るわけではなく、継続していくことが大切。限りある財源を有効活用し、さまざまな施策を一つのパッケージとして提供していきたい」としている。

(宮崎日日新聞社提供)