「まるでお通夜」「壮絶! じゃんけん祭り」…PTA役員選出のリアル体験談…「沈黙に耐えきれず手を挙げた」 介護や病気 さらされる個人情報 転勤族の嘆きも

 2023/05/06 20:30
 南日本新聞は4月21~23日、編集局LINEアカウントを使って、PTAに関する意識調査を実施しました。250人から回答があり、内訳はPTA真っ盛りの現役組6割、既に子育てを終えた卒業組4割でした。4回に分けて、アンケート結果を紹介します。第1弾はPTAといえば…新学期恒例の学級委員や役員選出です。家事や育児との兼ね合いもあり、「できれば役に就きたくない」との思いが回答にあふれました。

 「まるでお通夜」「人間関係壊れるくらいの公開処刑」。アンケートからは、母親を中心に、壮絶な体験談が多数寄せられました。その一端を紹介します。

・入学式の後、武道場に集められ鍵を掛けられた(50代女性)
・部長が決まらず、くじ引き。塩と米を小袋に入れて持ってきた方が、見事大当たりして部長になった(50代女性)
・誰も学級委員長をせず、担任は「くじ引きでなく話し合いで決めたい」と言い、沈黙の1時間半を過ごす(40代女性)
・立候補した私は英雄みたいにあがめられた(30代男性)
・選挙用紙に、必ず自分か推薦者の名前を書くようになっているが、みんな白紙で出すと知った時、選挙を行うことが無意味だと感じました(40代女性)
・中学3年のPTAへ行ったら40人のうち7人しか出席しておらず、結局出席メンバーで役員になることに。委任状だと役員をしなくていい仕組みになっていたので驚きました(40代女性)
・小さなグループごとにじゃんけんになった。自分以外の人たちは仲良しで、事前に何を出すか決めていたようだ。結局、自分が負けて引き受けた。他の人がニヤニヤ笑っていてとても腹立たしい思いをした(50代女性)

■立候補続出の低学年、長考必死の高学年

 学校によっては、学級委員や役員のポイント制を導入したり、卒業までの回数制を敷いたりしているようです。負担が比較的軽いうちにノルマを達成したいと考える方が多く、低学年では「委員の争奪戦」が熱気を帯びる場合もあるとか。

・1人の子どもにつき、卒業までに2回役員をしないといけないという決まりがあり、役員履歴カードなるものもある。高学年になると役員の仕事が重くなるのでみんな低学年で役員を済ませたい。低学年の役員選出は激戦(40代女性)
・1度はしないと5、6年生で学年部長や全体部長にならされると聞いて、慌てて1年生の時、役員に手を挙げた。同じ考えが皆の心理にあり、1年生の時は、なり手が多かったため、じゃんけんで決めた。(50代男性)

■長時間の沈黙に耐えかねて…

 委員選びが長時間に及ぶと、沈黙に耐えかねて名乗り出るケースも少なくありません。後悔する方、逆に想像以上の充実感を味わう方…人それぞれです。

・どんよりした雰囲気に負け、手を挙げてしまった(40代女性)
・先生の「どなたか役員を」の一言で静まりかえった。空気の重さに耐えきれず自ら挙手。その時は一瞬後悔したが、勇気を出したおかげで、他の保護者も気軽に声を掛けてくれるようになり、PTA主催の夏祭りの出店を仕切ることができた(30代女性)
・じゃんけんやくじ引きになるようなら…と、自ら引き受けたことがあります。これから子どもたちのために頑張ってくださる先生への気持ちで(40代女性)

■役員選出では個人情報も白日の下に

 子どもを持つ世帯では、スポーツ少年団やあいご会など、PTA以外にも役を務めなければなりません。もちろん、共働きや介護、通院など、それぞれの家庭には、家庭の分だけ「事情」がありますが、なかなか理解してもらえないケースも…。

・ポイント制や順番で決められて出来ない時は、理由を他の保護者の前で言わされた。家族の介護や病気の内容まで言わされプライバシーや人権など関係ない(50代女性)
・一番イライラしたことは、仕事が忙しいからと断られること。私も仕事しているのですが、あなたと私の仕事内容についてレベルが違うとバカにされているのけ? と心でつぶやいていました(40代女性)
・役員未経験の母親が学級委員長に。日本語を話せない外国出身の方でした。決まりは守るべきだとの声が大きくて…(60代男性)
・主婦と仕事がある人との間で毎年もめた(40代女性)
・委員や役員をやった人のリストが回覧され、やってない人が明確になる。出席できない人が役を担って、ほかの役員が大変だったことがあった(40代女性)

■ようやく決まった後に

 難産の末に委員や役員が決まっても、その後にもさまざまなハプニングや苦労は付きもののようです。

・本年度、初めて立候補で役員になったが、就任してから初めて、任期が3年であると知らされ不信感を覚えた(40代女性)
・地方議員を将来狙っている方がいて役員になったのは良かったが、仕事はほとんどが他人任せだった(60代男性)

■ここにもある?ジェンダーの壁

 働く女性が増えたといっても、依然として母親への理解はなかなか進まないのもPTAあるあるのようですね。

・幼稚園の時、役を強制的にさせられた! シングルマザーには強く言うのに、シングルファザーには言わない! なぜ? シングルマザーの方が、休みは取りにくい現実があるのに…ここにも、女子軽視が!(30代女性)
・恐怖のくじ引きで役員が決まるまで帰れないなど、専業主婦が仕方なくする感じです(50代女性)
・専業主婦に役が回ってきがちである。いっそ、時給を差し上げたら、なり手も出てくるのでは?(50代女性)
・PTA以外にも町内会や児童クラブ、あいご会の保護者会まである。掛け持ちのお母さんまでいてかわいそう。ちなみにこれらの活動に参加しているのは95%くらい女性。「女の労働力は無料」という時代が早く終わってほしい(30代女性)

■転勤族から聞こえる嘆き

 転勤族にとって、不慣れなまちでの暮らしは不安なものです。さらには前任地での役員経験はカウントしてもらえず、引っ越し早々、委員を任されることもあるのです。

・転勤してきたら、いきなり、やってない人と言って選ばれた(60代女性)
・知り合いの話。小学5年で転校してきた保護者が、残り2年で3ポイント貯めないと6年でPTA会長などになってしまうと、引っ越ししてきて早々に学級委員長をさせられていた(30代女性)
・引っ越してくる前の学校では役員を5年以上しました。しかし、転入した学校では、役員経験はないということで、強制的に役員に選出されました(40代男性)
・主人が転勤族ですので転校するたびに役員をしました。鹿児島市内はシビアです。くじ引きや欠席の方を入れ込むなど、後で問題になりそうな選出方法もありびっくりしました(50代女性)

 いかがでしょうか。思わず「うん、うん」とうなずいたり、「それなにー」と驚いたりしたのではないでしょうか。PTAアンケート連載・第2弾は、アンケート結果から「PTAは必要か不要か」「有意義だったか否か」をまとめます。



 南日本新聞が実施したLINEアンケートの設問は「PTAは必要か、不必要か」「PTAの学級委員や役員の経験年数は」「委員や役員をやって有意義だったか」など選択式9問と、「委員や役員選出の際の体験談」「PTAは今後どうあってほしいか」など自由記述5問。250人から回答がありました。