中小企業の体力回復した? コロナ禍で始まった「ゼロゼロ融資」、返済いよいよ本格化 3年の猶予期間終了

 2023/05/07 17:17
関係機関の代表者が集まり対策を探る経営改善支援連絡会議=4月26日、鹿児島市のかごしま県民交流センター
関係機関の代表者が集まり対策を探る経営改善支援連絡会議=4月26日、鹿児島市のかごしま県民交流センター
 新型コロナウイルス禍の中小企業支援策として政府が2020年に始めた実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が、鹿児島県内でも夏場にかけて本格化する。3年の元本返済猶予期間が終了するためだ。物価高や人材不足で企業の経営環境が厳しさを増す中、関係機関は持続可能な返済への道を探っている。

 4月26日、金融機関や中小企業支援機関などでつくる「かごしま中小企業支援ネットワーク」は、第1回経営改善支援連絡会議を開いた。会員の知見を生かし、金融機関が単独での支援が難しいと判断した小規模事業者の現状把握や資金繰り、販路拡大を手助けする。

 県信用保証協会によると、県内企業のゼロゼロ融資による保証承諾は約1万5000件、約2300億円。うち約8500件は償還が始まっている。据え置き期間を3年としている企業は全体の3割(約4500件)あり、夏場にかけて返済開始のヤマ場を迎える。

 これまで、ほとんどの事業者で滞りなく返済が進んでいる一方、保証協会が代わりに弁済する件数や据え置き期間を延長する条件変更が少しずつ増えているという。融資限度額を最大1億円にする新たな借換制度もできたが、問題の先送りにすぎないケースもある。県信用保証協会の川野敏彦会長は「企業が体力を付けるためにも融資に頼らず、本業で利益を確保できるよう支援しなければならない」と指摘する。

 鹿児島銀行は、昨年6月から定期的に融資先を訪問し業況把握に努めてきた。業種別では飲食や宿泊業が多く、担当者は「人材不足や物価高など経営環境の悪化が収益改善の足かせにならないか」と不安視する。

 鹿児島相互信用金庫はアフターコロナを見据え、2年前から企業の課題解決や販路拡大に力を入れてきた。地域支援部の八木智弘副部長は、返済の本格化で倒産する事業者が出てくることを懸念する。「経営者に寄り添い、よき相談相手となるという金融機関の基本姿勢が、今ほど求められていることはない」と話す。