ここにも大谷翔平効果…甲冑作って50年、姶良の工房「剣画堂」が伝統工芸品として初出荷

 2023/05/09 20:53
鹿児島県の伝統的工芸品として初出荷される「剣画堂」の甲冑=姶良市平松の同社
鹿児島県の伝統的工芸品として初出荷される「剣画堂」の甲冑=姶良市平松の同社
 鹿児島県の伝統的工芸品の甲冑(かっちゅう)の生産者に2022年5月指定された剣画堂=姶良市平松=が4月下旬、初めて伝統的工芸品をうたった特注品を出荷した。色や形を発注者と相談しながら完成させ、思い入れの詰まった品になった。

 同社は50年余り製造を続け、人形店などへの卸が中心だった。工場長の福留武俊さん(47)は「米大リーグ大谷翔平選手の影響でかぶとが注目されている。剣画堂の甲冑を、他県にもアピールしたい」と話す。

 特注品はよろいの札を鉄板から切り出し、丁寧に成形。黒く色付けした上で、主に紺色の糸でつなぎ合わせている。部分的に赤い糸でアクセントを付けるなど随所にこだわった。かぶとには金色に輝く弦月の前立てが付き、発注者の家紋も施した。

 伝統的工芸品指定を受けて2月に東京であった「銀座名匠市」に出品したことが、東京からの注文につながった。総務部長の廻三奈子さん(46)は「品質を知った上で注文してもらえたことがうれしい」と語る。同社製造の身に着けられる甲冑は、大人用で20~100万円。子ども用は20万円ほどという。飾り用も製造販売する。

 4月には大リーグ・エンゼルスで本塁打を放った打者を祝福するセレモニーに使われるかぶとが注目された影響で、「子ども用のかぶれるかぶとが立て続けに売れるなど『大谷効果』があった」と福留工場長。「甲冑は色も形もきれい。美術工芸品としても魅力がある」と“姶良甲冑”をPRする。剣画堂=0995(67)2217。