解体されないかも…1939年築の国登録文化財、2法人が購入希望「保存へ前進」 鹿児島市の県民教育文化研究所

 2023/05/14 21:20
2法人から購入の申し入れがあった旧藤武邸=鹿児島市春日町
2法人から購入の申し入れがあった旧藤武邸=鹿児島市春日町
 解体が検討されていた鹿児島市春日町の旧藤武邸・県民教育文化研究所(国登録有形文化財)について、県内の2法人から、購入して保存、活用する意向の申し入れが寄せられている。建物を所有する県教育会館維持財団は、「保存に向けて一歩前進できた」として、6月までに結論を出す考えだ。

 旧藤武邸は1939(昭和14)年に建てられ、玄関の寄せ木細工や格式の高い書院造りの表座敷などが特徴。60年に財団が教職員らの宿泊所として買い取り、研究所として使っていた。

 財団は老朽化した研究所と県教育会館(山下町)の機能を移す建物の移転先が見つからなかったことから、旧藤武邸を解体し跡地に新築する方針だった。ところが市民団体から保存を求める声が寄せられたため、保存してくれる売却先を探すことに。4月末までに2法人が名乗りを上げた。

 財団によると、研究所と県教育会館の移転先候補も2カ所見つかっており、現在は旧藤武邸の売却と移転先の購入について、不動産会社を通して交渉手続きを進めている。財団は「売却と土地購入の話が同時にまとまらなければ解体せざるを得ない可能性もある」としている。6月に開く評議委員会までには結論を出す方向。

 また、売却が予定されている県教育会館についても市民からは保存を求める声がある。財団は「移転の話がまとまってから改めて検討していきたい」としている。