沖縄の基地負担「反対するだけでは解決しない」 日本復帰51年 出身者ら思い複雑

 2023/05/16 07:24
故郷の沖縄への思いを語る粟國朝夫さん=15日、鹿児島市三和町のアワクニ酒店
故郷の沖縄への思いを語る粟國朝夫さん=15日、鹿児島市三和町のアワクニ酒店
 沖縄県の日本復帰51年を迎えた15日、沖縄ゆかりの鹿児島県関係者は改めて平和を願い、沖縄の基地負担について「ないに越したことはない。せめて(日本側に不利な)日米地位協定を改定すべきだ」と求めた。

 鹿児島市三和町で酒類専門店を営む粟國朝夫さん(71)は9歳まで那覇市で過ごした。幼い頃、米兵に身を売った日本人女性の話を聞いたことが忘れられない。「米統治下は悲惨だった。ただ、基地経済の恩恵を受けている人も一定数いる。基地反対を訴えるだけでは何も解決しない」と話す。

 西之表市馬毛島の自衛隊基地建設など県内の防衛力強化の現状については、ロシアのウクライナ侵攻や中国の海洋進出を挙げ「正解は分からないが、やむを得ないのでは」と複雑さをにじませる。

 一方で「防衛力を高めても、相手はそれ以上に備える。基地を持つことが果たして抑止力につながるのか」と疑問も抱く。

 龍郷町出身で沖縄奄美連合会の会長を務める奥田末吉さん(79)=沖縄県糸満市=は、復帰直後の1972年に沖縄に渡り、国の補助で街が発展していく様子を見てきた。51年たった今も「所得の低さなど課題が山積している。自立にはほど遠い」と指摘する。

 奄美出身者の沖縄での功績を調べる中で、地上戦などつらい戦争体験を知った。基地負担について「国はせめて日米地位協定の改定など、できることから対応するべきだ」と強調した。