「学校のテント なぜPTA負担?」 廃品回収やベルマーク収集…コロナ禍で見えた 本当に必要な活動とは

 2023/05/22 18:02
 編集局LINEアカウントで4月下旬に実施した「PTAに関する意識調査」を基に、アンケート結果を特集する3回目です。現代のPTAに対して、保護者がどんな感情を持っているのかが浮き彫りになりました。

 役員選出時の「押し付け合い」に代表されるネガティブな意識が多数を占める中、「活動が制限されたコロナ禍を経て、学校にとってどんな支援組織が真に必要なのかが見えてきた」と、PTA改革の推進を訴える自由意見が非常に多かったのが印象的です。

・コロナ禍で規模縮小、簡素化された活動が多くあったが、何か支障があったと思えない(50代女性)

・コロナ禍の時、PTA活動なしだったが不便はなかった(多数)

・コロナ禍の3年間、PTA活動はなかったが、子どもたちに不利益が出たとは思えない(40代男性)

 学校にとって、子どもにとって、持続可能なサポート体制とは何か。「令和のPTAを考える」シリーズの最終回は、これからのPTA組織に求められるものに焦点を当てます。

■ PTAの活動内容を精査する

 今回のアンケートで最も特徴的だったのは、「PTAの活動内容を見直すべきではないか」という意見が多かったことです。具体的に上がった項目を見てみましょう。

☆残していい、残すべき活動

・草刈りなどの奉仕作業
・登下校時間の見守り

☆外部委託含む検討が必要な活動

・草刈りなどの奉仕作業
・PTA新聞発行などの広報
・関連団体の会合への動員
・運動会の駐車場整理
・資源回収
・卒業生への記念品
・ベルマーク集め
・バザー(飲食販売)

 賛否が分かれたのは、「愛校作業」の名称で続く草刈りなどの奉仕作業でした。

・奉仕作業や街頭補導は残してよい。広報や動員の必要な会議は不要。運動会の駐車場管理などは外部委託する(年齢・性別記述なし)

・無駄が多い。業務を減らすべき(30代男性)

・必要な活動だけに絞り込む(40代女性)

・PTA行事の精選を(40代女性)

・奉仕作業や交通安全活動などは必要だが、役員会や何カ月に数回の話し合いを減らしてもらえると助かる(30代男性)

・まったく目を通さないPTA新聞や参加者が集まらない家庭教育学級、特に要らない卒業生へのプレゼント…無駄が多すぎる(30代女性)

・今はフリマアプリで不要品を売る人も多いからバザーはやらなくていいと思う(30代女性)

・愛校作業は、なぜ親が学校をきれいにしないといけないのか不思議(50代女性)

・公園の清掃は自治体が業者へ委託するのに、学校はPTAがあたる。なぜ?(40代女性)

■ 学校運営費をPTAが肩代わり?

 今回のアンケートで注目したいのは、「本来、学校の予算で購入すべき備品や清掃を肩代わりしているのではないか」と、学校運営の予算や人的負担をPTAが担っていることへの疑問が寄せられた点です。

・PTAの会計を経験した立場としては、PTA(費)がなくなれば学校運営もできなくなると思います。PTA未加入者が増えれば、その分、運営費が足りなくなるし、同時に加入者の負担は多くなりかねず、不公平感が増す(50代女性)

・公立学校の場合、財源不足をPTAが廃品回収やバザーなどの事業で費用を捻出し、肩代わりしているところもある。木々の枝切りや卒業証書を入れる筒とか(60代女性)

・卒業記念品のテントとか、本来は「学校備品」として市町村が購入すべきではないか(40代女性)

■ ボランティア? 親の義務?

 アンケートでは、活動内容の見直しや外部委託を求めるなどの「PTA改革」への意見がある一方、「そもそもPTAは任意団体」とする声も根強くありました。

・任意団体だと説明してから入会希望を取る。学校の下請けのような活動はやめてほしい(60代女性)

・学校とは別組織で任意団体だと周知する。入退会届を作成する。会費の引き落としは学校に委託しない(40代女性)

・PTAは任意団体であり、ボランティアによるもの。強制的にやらされるものではない(30代女性)

・子どもを学校に通わせている限りはPTAは親の務め。全員参加すべきだ。しかし、負担が少ない方がいい(50代女性)

■ 地域全体で学校をサポートする

 少子化が進み、保護者一人一人の負担感が増すPTA活動。アンケートでは、地域全体で子どもや学校をサポートする組織への転換を促す意見もありました。

・先生と在校生、保護者だけでなく、地域住民や企業も一緒に学校運営をサポートする学校運営協議会(コミュニティースクール)の普及が必要だと思います。学校は地域の防災やコミュニティー形成の拠点としての役割も担うため、地域ぐるみで運営すべきだと思います(30代女性)

・アメリカで行われているように、自主参加型になってほしい。学校だけでなく、地域や企業を巻き込む形になるといい(40代女性)

■ 部活動は本年度から地域移行へ

 学校活動を地域全体でサポートする…この考え方は、公立中学校の部活動で本年度から段階的にスタートしています。「部活動の地域移行」です。従来、学校の先生が、ほぼボランティアで担ってきた部活動の指導を、地域クラブや民間指導者へ委ねていくものです。

 少子化に伴って、団体競技ではチームが組めずに、廃部になっていく競技も後を絶ちません。先生たちの働き方改革も進める一方で、保護者の送迎や費用などの負担増を指摘する声もあります。

 戦後続いてきた学校運営はいま、大きな曲がり角に立っています。PTAはどうすれば、持続可能な組織としていけるのか。皆さんのご意見、ご感想をお待ちしています。

シリーズ「令和のPTAを考える~下」から。


 【アンケートの手法と回答】南日本新聞社編集局LINEアカウントを使って4月21~23日に実施しました。設問は「PTAは必要か、不必要か」「PTAの学級委員や役員の経験年数は」「委員や役員をやって有意義だったか」など選択式9問と、「委員や役員選出の際の体験談」「PTAは今後どうあってほしいか」など自由記述5問。250人から回答がありました。