元患者の遺骨問題「偏見が背景に」 鹿屋でハンセン病市民学会 全国から300人、課題を共有

 2023/05/21 09:38
ハンセン病を巡る差別や偏見の解消を考える市民学会の総会と交流集会=20日、鹿屋市文化会館
ハンセン病を巡る差別や偏見の解消を考える市民学会の総会と交流集会=20日、鹿屋市文化会館
 ハンセン病問題に取り組む市民団体「ハンセン病市民学会」の総会と交流集会が20日、鹿児島県鹿屋市文化会館であった。全国から元患者や支援者ら約300人が集まり、当事者が受ける差別の現状を改めて見つめ、偏見のない社会に向け課題を共有した。国立療養所星塚敬愛園のある鹿屋での開催は2016年以来で3回目。

 ハンセン病問題を巡っては国が施策検討会を設置。同会は4月、差別の現状やハンセン病問題基本法改正への提言を含む報告書を国に提出しており、基調報告では検討会の内田博文座長(76)がその概要を説明した。

 パネルディスカッションに登壇した国立療養所邑久光明園(岡山県)の青木美憲園長(57)は、元患者の遺骨を引き取る遺族が減っている現状を挙げ「偏見が今も残っていることが背景にある」と述べた。全国ハンセン病療養所入所者協議会の森和男会長(82)は「基本法には具体的施策を行う上での指針を書き込んでほしい」と求めた。

 塩田康一知事や中西茂鹿屋市長らも出席した。21日は同市のリナシティかのやなどで、地域で暮らす当事者の現状と課題や人権学習についての分科会がある。

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