米軍機への反対運動は半年で下火に…9条の会代表は嘆く「もっと議論を」 海自鹿屋基地に無人偵察機MQ9、米兵と市民が交流も
2023/05/21 07:30

精肉店でバーベキュー用の肉を一緒に選ぶ米兵(中央)と地元関係者=19日、鹿屋市寿8丁目
5月の平日昼、ガラス張りの理容店をのぞくと、迷彩服に身を包んだ米軍関係の男性が鏡の前に座っていた。「アリガトウ」。短く刈り上げたばかりの茶色の髪を満足げに眺め、店員と談笑していた。
「数ミリ単位で髪型のルールがあるみたい。皆さん2週間に1回は来てくれる」と同店代表の郷原龍大さん(52)。評判が広まったらしく、米軍関係の常連客は40人以上に上るという。
最近は地元の観光地を話題に会話する。「もしもし」と予約の電話ももらい、日本語を少しずつ覚えてくれた。ただ、安全保障問題などの軍事的な話題は避けている。「ロシアのウクライナ侵攻のような生々しい報道が隊員の姿とリンクすることもある。この半年で安全保障に関するニュースへの関心は高まった」
4月初旬の夜、中心街にほど近い飲食店では米兵と市民が数十人でバーベキューを楽しんでいた。米兵自ら手料理を振る舞う場面もあった。
企画したのは英国留学経験のある同店オーナーの藤山邦子さん(56)。駐留が始まって以降、英語で会話し親睦を深めた。今では米兵らが週に2回は夕食に訪れるという。
「最初は治安の問題をかなり心配したが、紳士的で洗練されている人がほとんどだった。地元との交流が定期的に続けばいい」と話す。米軍関係者に藤山さんとの交流について尋ねると、「ホーミー(家庭的)」と笑顔を見せた。
改めて鹿屋基地を囲むフェンスの前に立った。計画開始前後は目立った無人機配備の反対運動は、この半年で下火になった印象を受ける。運動の中心となった市民団体「9条の会おおすみ」の松下徳二代表(85)は「有事で鹿屋が標的となった場合、どう避難するのか。米兵と向き合う街としてもう少し議論が活発にならなくては」と嘆く。
基地内では、鉛色の細長い無人機がたたずみ、隊員が作業している様子が日常風景となった。だが、その全貌の多くはベールに包まれたままだ。どんなに民間交流が進んでも、フェンスの向こうは近いようで遠いのだろうか。
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