剣の道55年…チャンバラ少年が最高位「範士」に 子どもとも稽古「教わる相手は選ばない」

 2023/05/25 08:28
全日本剣道連盟の最高位「範士」に昇格した松下悦郎さん=県武道館
全日本剣道連盟の最高位「範士」に昇格した松下悦郎さん=県武道館
 全日本剣道連盟の最高位「範士」に、松下悦郎さん(67)=鹿児島市西陵3丁目=が昇格した。範士は錬士と教士を上回る称号で、教士八段から8年以上たてば審査を受けられる。技術だけでなく人格も評価される難関だ。教士八段昇格から15年を経て、5月6日に認定を受けた。「驚いた半面、全剣連から尻をたたかれた気持ち。引き続き頑張りたい」と意気込む。

 剣士となり約55年、一度も竹刀を置いたことはない。黙々と素振りに取り組んで体を温めた後、自由に技をかけ合う地稽古といった基本練習に励む。子どもたちと竹刀を交える機会も多く「教わる相手は選ばない。子どもたちからも学ぶことが多い」と謙虚さを忘れず鍛錬を続ける。

 高校時代は全国タイトルとは遠かったが、「負けた悔しさをばねにした」と竹刀を握り続けた。そのかいあって、全日本学生剣道優勝大会や全国警察剣道大会などで計10回の優勝を誇る。

 鹿児島県阿久根市大川のチャンバラ少年だった小学5年の頃、先輩に誘われて「大川剣道」の祖である故・下薗重志さんに師事。鹿児島商工高(現・樟南高)から法政大に進学し、鹿児島県警に入った。共に励まし合い、成長してきた仲間へ感謝し「今後も剣を交えたい」と笑う。

 鹿児島県剣道連盟理事長のほか、国体強化委員長も務める。地元国体での上位入賞を見据え、「今年の国体を、今後の鹿児島剣道の道しるべにしたい」と力を込める。