伝統は続く…油井の豊年踊り、20数年ぶりの紙面作り 瀬戸内町

 2023/05/29 20:46
豊年踊りの紙面作りに挑戦する子どもたち=28日、瀬戸内町油井
豊年踊りの紙面作りに挑戦する子どもたち=28日、瀬戸内町油井
 鹿児島県瀬戸内町の油井集落に伝わる「油井の豊年踊り」の継承活動として、同集落で28日、地元の子どもたちが、踊りで使用する仮面の「紙面(かびでぃら)」作りに挑戦した。白ひげのおきなや怪物のようなシシなど11種を作り、国立民族学博物館(大阪府)に提供する。

 保存会と油井小中学校は踊りの継承に向け、演目の指導や学習発表会などに取り組む。博物館が来春予定する特別展のために紙面の提供依頼を受けた保存会が、道具作りも学んでもらう機会にしようと初めて実施した。

 子どもたちは、保存会メンバーに教わりながら顔型の粘土製土台に新聞紙や半紙を貼り、面を形作った。2週間ほど乾燥させ、絵の具で目や口を描き完成させる。油井小学校4年の山口純加さんは「おもしろい顔に仕上げて、みんなに見てもらいたい」と話した。

 紙面は、一度作ると定期的に色塗りして壊れるまで大事に使う。本番と同じ面を作る機会は少なく、二十数年ぶりという。保存会の岡野弘明会長(69)は「いつか壊れたときに経験を役立てて、集落が誇る郷土芸能をいつまでもをつないでほしい」と願った。

 踊りは県指定無形民俗文化財。旧暦8月15日の豊年祭に行い、稲刈りや脱穀といった稲作などにまつわる12の演目を大人が踊る。