不適切指導で子どもの自殺防ぐには? 学校側の隠蔽防げ、遺族らは第三者調査の徹底求める

 2023/05/30 07:48
指導死をなくすための対策強化を訴える鹿児島県内の遺族=29日、文部科学省
指導死をなくすための対策強化を訴える鹿児島県内の遺族=29日、文部科学省
 教員の指導後に自殺した鹿児島県内の生徒の遺族らでつくる「安全な生徒指導を考える会」は29日、こども家庭庁と文部科学省に、厳しい叱責(しっせき)や体罰といった不適切指導による子どもの自殺(指導死)を防ぐための対策を要望した。自殺の原因究明が不十分とし、学校側が隠蔽(いんぺい)できないよう中立・透明性の保たれた第三者調査の徹底など求めた。

 考える会は、文科省の2021年度の調査で子どもの自殺原因の約6割が「不明」だと指摘。指導死の場合、学校側が積極的に調査せず原因不明とされることがあるとし、複数の関係機関や専門家で事例に当たり、再発防止につなげる検証の仕組みを求めた。教員用手引書「生徒指導提要」が改訂されたことも踏まえ、児童生徒・保護者を対象とした不適切指導の全国調査や、教職員への予防研修も訴えた。

 厚生労働省と文科省で会見し、県内の2遺族が出席。鹿児島市で18年に亡くなった中学3年男子生徒の母親は「事故報告書で死因は不明とされ、息子の存在を否定された気分だった。被害者側の声も聞き反映すべきだ」と強調。奄美市で15年に亡くなった中学1年男子生徒の父親は「遺族が動かないと教育行政は動かない。子どもの自殺は増えており、背景や原因を調べ対策に生かしてほしい」と述べた。