小中学校トイレ まだ残る和式 児童「苦手」「慣れない」 県内洋式化42.6%、全国で下から4番目 文科省助成で改修後押し

 2023/06/01 07:58
校舎の大規模改造に伴い、洋式に改修した向花小学校のトイレ=霧島市国分府中町 
校舎の大規模改造に伴い、洋式に改修した向花小学校のトイレ=霧島市国分府中町 
 鹿児島市内の小学校に通う2年生児童の保護者から「学校のトイレは和式便器が多く、娘が行きたがらない」という悩みが、南日本新聞「こちら373」に寄せられた。「家が洋式で慣れていない」「臭いが気になる」との声はほかの子どもたちからも上がる。今も和式便器が残る県内小中学校のトイレ事情を探った。

 児童は1年生だった昨年の1学期、トイレに間に合わなかったことがあった。幼稚園ではなかったことだ。低学年合同の女子トイレに洋式が1カ所しかなく、順番待ちの列ができるためという。「臭い、汚い、暗い」雰囲気も苦手なようだ。

 保護者は外出時に和式便器の使い方を教え、学校は臭いを改善するため清掃した。それでも、学校に持って行く水筒の半分以上を飲まずに帰宅する。保護者は「トイレの回数を減らすために、水分摂取を控えるのは体に良くない。ストレスなく行ける環境を整えてほしい」と訴える。

 文部科学省の公立学校施設のトイレ状況調査(2020年9月1日時点)によると、全国の小中学校の洋式化率(便器数に占める洋式便器の割合)は57%で、初めて調査した16年に比べ13.7ポイント増えた。鹿児島県は42.6%。16年比12.1ポイント増ではあるが、全国では4番目に低かった。

 同省は01年度から、トイレ環境を改善する工事に助成。19年に小中学校施設整備指針を改定した際には「生活様式やニーズを踏まえ、トイレの洋式化などを計画する重要性」を追記し、改修を推進する。

 県内でも洋式化に取り組む自治体は増えている。

 霧島市は保護者らの要望を受けて17~21年度、単独予算計約8000万円を投じ洋式化を進めた。22年4月1日時点で小学校66.5%、中学校64.9%になった。

 向花(むけ)小学校は18年度に完了した校舎の大規模改造に伴い、トイレも改修。建て替え前を知る浜田真梨子教諭(37)は「明るさや清潔感が増し、より快適に使えるようになった」。6年生に聞くと、男児も女児も「和式を使った経験が少ない。(よそで使ったことがあるが)しゃがむのが大変だった」と話す。

 鹿児島市も、18年度から洋式化改修を事業化した。22年度末の洋式化率は小学校66.9%、中学校62.2%。23年度も小学校6校、中学校9校で実施する。

 学校は災害時の避難所にもなることから、幅広い年代が利用する可能性がある。TOTOなどで作る「学校のトイレ研究会」(本部・東京)の冨岡千花子事務局長は「和式はお年寄りや障害者が使えない場合があり、洋式化が急がれる」と話している。