内定解禁は10月だけど…既に7割の大学生ゲット 早まる就活、学業優先ルールは形骸化「2025年卒の争奪戦始まっている」
2023/06/02 08:03

就活見直し講座を受講する鹿児島大学の就活生=5月31日、鹿児島市の同大郡元キャンパス
「だいぶ早めに説明会と面接を始めたつもりが、大手企業に刈り取られた後だった」とこぼすのは鹿児島県内企業の採用担当者。優秀な人材獲得のため、他企業に先んじて採用活動を始める必要に迫られているという。
企業説明会の解禁は3月、選考活動は6月、内定は10月の各1日から解禁されるルールだが、リクルートの調査によると、来春卒業予定の大学生の内定率は5月中旬時点で72.1%に上る。別の県内企業も既に選考をほぼ終えたが「25年卒の争奪戦がもう始まっている」と息つく暇もない。
学生側も早まる就活戦線に気をもむ。3月に公務員志望から民間企業に切り替えた鹿児島大学法文学部の女子学生(21)は「エントリーが終わっている企業は多い。内定をもらった友人が増え、スタートの出遅れがずっと響いている」と嘆く。1日が選考活動解禁という感覚は「なかった」。
鹿大キャリア形成支援課の下田智子課長は「今年は一段と早期化が進んだ」と話す。ルールに縛られない外資系をはじめ、都市圏の企業やIT系が活発で、県内企業もおのずと早まったと分析する。鹿児島国際大就職キャリアセンターの今村憲一所長も「企業側の焦りは感じる」、志學館大進路支援課の窪健太郎課長は「今年は県内企業でも冬休み明けに内定が出た」と驚く。
早い学生は1年生から就活の準備を始める。サークルやボランティア活動を控え、講義を詰め込み単位を取得、3年夏に本格化するインターンシップ(就業体験)に備える。背景には、インターンが事実上の採用活動という実態もある。過去にはインターン参加のため講義を休んで留年した学生もおり、下田課長は「学業の妨げにならないようにしてほしい」と訴える。
新型コロナウイルス禍からの回復期を迎え人材不足は全国的に顕著で、学生有利の「売り手市場」は続く。複数の内定を得た学生による辞退も相次ぐ。5月の追加募集は昨年より多い傾向で、6月の解禁日を「2次募集の始まり」と表現する採用担当者もいる。
鹿大は31日、就活を続ける学生対象の「就活見直し講座」を開いた。参加した法文学部4年の女子学生(21)は「内定のピークは越えたと聞き焦っている。ただ追加募集も多く、採用が終わったわけではない」と残るチャンスに望みをつなぐ。
学生は給与よりも働きやすさや仕事のやりがい、福利厚生の充実などを重視する傾向にあり、企業を選ぶポイントは多様化している。マイナビ南九州営業部の海江田勇介部長は「採用を早めるばかりではなく、自社の魅力向上を図ることが人材獲得につながる」と指摘した。
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