自主防災組織加入率が95%の町内会…共助の力を発揮するために取り組んだこととは

 2023/06/07 08:28
県防災アドバイザーの村野剛さんから避難所運営を学ぶ熊野自治会の住民=5月12日、日置市日吉町日置
県防災アドバイザーの村野剛さんから避難所運営を学ぶ熊野自治会の住民=5月12日、日置市日吉町日置
 新型コロナウイルス禍の2021年6月。鹿児島県枕崎市の平田町自主防災組織は、新型コロナ感染拡大を想定した訓練に取り組んだ。

 避難所となった同市妙見センターの入り口では30人ほどの住民が検温や消毒を済ませ、チェックシートに健康状況を記入。感染が疑われる人の部屋も準備した。感染拡大を防ぐための誘導の手順を確かめるなど実践的な内容を心がけた。

 17年の結成から、土のう作りや段ボールを使った間仕切り作りなど年1回の活動を継続。コロナ下での活動に中止を求める声もあった。それでも「活動の継続性」を重視した。

 会長の野村和弘さん(62)は「災害はコロナ下でも関係ない。犠牲者を出さないためには定期的な訓練は欠かせない」。地域では近所の1人暮らしの高齢者と積極的に意思疎通を図る人が増えてきた。

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 鹿児島市南部の住宅街にある自由ケ丘一区町内会は、高い加入率を維持する。

 転機となったのは、加入率が6割に満たなかった10年。非会員の家に何度も通って「入らない理由」を尋ねて回り、不評だった回覧板や役員の輪番制、行事の強制参加などを廃止した。わずか1年で加入率は99%に上昇し、現在も約95%と高水準を維持する。

 家族構成や連絡先などを把握する「世帯者カード」には、災害時に必要な支援を具体的に記入。これらの情報は現場で生きる。災害が懸念される大雨時に住民が協力し、寝たきりの高齢者を福祉施設まで送り届けたケースもあった。

 今春まで15年近く会長を務めた原田俊之さん(76)は「町内会の基盤がしっかりしていれば災害時に対応できる。できる人ができる範囲で活動することが大切だ」と共助の意義を説く。

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 専門家の力を借り、活動の充実を図る動きも広がる。日置市日吉の熊野自治会は昨年度、県事業を活用。県防災アドバイザーの村野剛さん(61)を講師に招き、災害危険箇所を記したマップを完成させた。5月12日には村野さんから避難所の運営方法などを学んだ。

 参加した中原章登さん(66)は効果を実感する。「具体的に何をやればいいのか分からない面もあったが、専門家に聞くことで活動が見えやすくなる」

 村野さんは、町内会や子育てサークルなどでコミュニケーションをとるだけでも共助につながると指摘する。「難しいことをしようと構えなくていい。避難場所の確認などを気軽に話すことから始めてほしい」

 共助の力をどう発揮するかは、一人一人が関心と理解を深めることが鍵を握る。

(連載「自主防災組織の今~2023鹿児島」㊦より)

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