夕暮れの波打ち際、生命つなぐ乱舞 クサフグが産卵シーズン

 2023/06/02 21:00
岸辺に押し寄せ、水しぶきを上げながら産卵活動をするクサフグの群れ=2日午後5時15分、阿久根市脇本
岸辺に押し寄せ、水しぶきを上げながら産卵活動をするクサフグの群れ=2日午後5時15分、阿久根市脇本
 鹿児島県阿久根市脇本の海岸で、クサフグの産卵シーズンを迎えている。2日夕方の波は、台風の影響を感じさせない穏やかさ。無数の成魚が夕日を浴びながら、生命をつなごうと波打ち際で乱舞した。

 大群が姿を見せたのは午後5時すぎ。雄が1回り大きな雌を囲んで波打ち際へ押し寄せると、激しく体をくねらせて産卵、放精した。浜は約1時間にわたり、バチャバチャと水音が響いた。

 クサフグは体長10〜15センチ前後と小ぶりながら、猛毒がある。県立博物館によると、産卵行動は5月中旬から6月上旬が最盛期で、満月の前や新月の前に多くみられる。「警戒心が強いので、距離をとって見守って」と上舞哲也学芸主事(52)は話した。