ICUに入院中の娘は熊本地震後、転院先で亡くなった。4歳。「災害関連死を無くしたい」。母が訴える思いとは

 2023/06/04 17:28
災害関連死と認定された宮崎花梨ちゃんについて話す母のさくらさん=2日、鹿児島市中央町のmirai JAPANNEXT PARK
災害関連死と認定された宮崎花梨ちゃんについて話す母のさくらさん=2日、鹿児島市中央町のmirai JAPANNEXT PARK
 鹿児島県内の救急医らによる災害医療講演会が2日、鹿児島市であり、入院中の病院が熊本地震で被災し、転院先で死亡した宮崎花梨ちゃん=当時(4)=の保護者や病院搬送にあたった医師らが登壇した。当時の状況や思い、災害への心構えを伝えた。

 2016年4月の熊本地震の際、集中治療室(ICU)に入院していた花梨ちゃんは、倒壊の恐れがあった熊本市民病院から福岡市内に搬送。5日後に亡くなり関連死と認定された。

 先天性の心臓病を抱えた花梨ちゃんは、人工呼吸器や10台の電動投薬装置につながれ、ベッドの振動も命に関わる状況だった。母親の宮崎さくらさん(44)は「建物の耐震性があったら、今でも生きていたのではないかと思ってしまう」と胸の内を明かした。「花梨の経験を生かして、震災が起きてもどうしたら命を救えるか考えてほしい」と訴えた。

 災害派遣医療チーム(DMAT)として福岡県から現地入りした高間辰雄医師(46)=鹿児島市立病院=は、花梨ちゃん搬送の指揮を執った。「災害に対応できる人材の育成、医療機関の耐震化や備蓄などがあれば、無理に避難させずにすんだのではないか」と振り返った。

 今後発生が予測される南海トラフ地震を挙げ、「熊本地震の経験を生かし、次に備えることがわれわれ災害医療人の責務だ」と訴えた。

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