障害者が出かけやすい街に…「ひまわり電車」18年ぶり運行 路面電車で27人が小旅行

 2023/06/08 17:21
18年ぶりに再開した「ひまわり電車」の車内で、クイズ大会で盛り上がる参加者
18年ぶりに再開した「ひまわり電車」の車内で、クイズ大会で盛り上がる参加者
 障害者が出かけやすいまちづくりを目指し、公共交通機関で旅をする「ひまわり電車」が4日、18年ぶりに復活した。「一度でいいから市電に乗りたい」という仲間の声を聞き、障害者が中心になり1994年から12年間続けた企画。この日は車いす利用者ら12人を含む27人が鹿児島市電に乗り込み、久しぶりの小旅行を楽しんだ。

 ひまわり電車はこれまで市電やJR、桜島フェリーなど公共交通機関を利用した小旅行を実施してきた。その間、低床市電やバス、駅のスロープなどが整備され「一定の役割は終えた」と2006年に活動を終了したが、新型コロナウイルスによる行動制限も緩和され、外出機会が増えることから再開を決めた。

 4日は、鹿児島国体をPRするラッピング市電1両を貸し切り、鹿児島駅前から谷山駅までの往復約2時間の旅に出発。車内では自己紹介のほか、鹿児島弁にまつわるクイズ大会などを開き絆を深めた。当時の発起人の一人だった同市川上町の所崎治代さん(72)は「久しぶりにみんなで集まれて元気が出た」と笑った。

 実行委員長の戸川千草さん(46)は「実行委だった仲間が相次ぎ亡くなり、当時をしのぶ中で復活への機運が高まった。世の中のバリアフリー化は進んだが、まだハードルは高いとも感じた」。今回は有志で実施したが、来年以降は参加者やボランティアを募り、本格的に再開する予定という。戸川さんは「障害者が気軽に街に出やすい環境づくりを目指したい」と力を込めた。