【元阪神・横田慎太郎さん死去】闘病、引退「くじけない」…家族、ファン、球団へつづった感謝と不屈の言葉
2023/07/19 17:28

横田慎太郎さん(コラージュ。2021年10月、鹿児島県日置市の母校・東市来中学校で撮影)
引退後は鹿児島県日置市で1人暮らしをしながら、講演活動などを続けた。南日本新聞には2022年から1年間、「横田慎太郎のくじけない」(月1回)を寄稿。連載スタートにあたり、プロ4年目の17年2月に脳腫瘍(しゅよう)と告げられ「頭の中が真っ白になりましたが、もう一度野球をやる、必ずグラウンドに戻ってくる、と強く心に誓いました」と振り返った。
■「目標持ち少しずつ前へ」
引退後の講演活動では「自分と同じように病気で苦しんでいる人、悩んでいる人を勇気づけたい、助けたいと思っています」。連載を通じて「子どもたちには目標を持って諦めない心を伝えたいです。世の中には苦しいこと、大変なこともいっぱいあるけれど、目標を持って少しずつ前に進めば、幸せなことが起きます。ぼくが奇跡のバックホームができたように」とつづった。
子ども面「オセモコ」での連載だったが、大人の読者にも人気が高かった。
■「最後の港で一緒に降りよう」
紙面掲載時のタイトルは、1回「スポ少 礼儀作法の教え基礎に」▽2回「プロの世界 いっそう努力も厳しい現実」▽3回「病気との闘い 『野球をやる』心の支え」▽4回「グラウンド復帰 制限ある練習 精いっぱい」▽5回「病院訪問 患者さんと気持ちつながる」▽6回「引退 目の状態戻らず決意」▽7回「帰郷 『勇気と希望を』発信決意」▽8回「2度目の入院 先見えず、母に弱音」▽9回「家族の支え 付き添いや電話が力に」▽10回「球団の支え 『戻れる場所ある』希望に」▽11回「朝の散歩 『普通』の日常に感謝」▽12回「小さな目標 『一人の時間』大切に」―。
「『治療をやめたい』。先の見えないつらさに初めて弱音を吐いた僕に、母はこう言いました。『船に乗ったら、途中では絶対に降りられないよ。最後の港で一緒に降りよう』」―。闘病の苦しさとそれを支えた家族への感謝をはじめ、球団関係者から「(背番号の)24番を空けて待ってるぞ」と言われたときのうれしさ、当時の監督・金本知憲さんの熱い激励や、2軍監督の掛布雅之さんから「独りに強くなれ」とアドバイスされ、抗がん剤治療で一番苦しい時の支えになったことなどを丹念につづった。
■「絶対に神様が見ている」
連載後の特集面(22年12月)では、子どもたちに向けメッセージ。「入院中に、病室のベッドに横になったまま、ゴムボールを上に投げて取るトレーニングを繰り返しました。『絶対に神様が見ている』と信じてやり続けました。それが最後の試合での、奇跡と言われたバックホームにつながったと思います。
みなさんも自分がどうなりたいか考え、成功した時を想像して頑張ってください。思春期で反抗したくなる時もあるでしょうが、親や周りの人への感謝を忘れないでください」としめくくった。
【プロフィル】
横田慎太郎(よこた・しんたろう)さん 1995年、東京都生まれ。3歳で鹿児島に引っ越し、日置市の湯田小学校3年でソフトボールを始める。東市来中学校、鹿児島実業高校を経て、2013年にドラフト2位で阪神タイガースに入団。3年目は開幕から1軍に昇格した。
17年に脳腫瘍(しゅよう)と診断され、2度の手術を受けた。19年に現役引退。引退試合となった2軍戦で、途中から中堅の守備に就き、本塁突入を試みた走者をノーバウンド送球でアウトにする“奇跡のバックホーム”を見せた。
20年に脊髄腫瘍(せきずいしゅよう)が見つかり、21年に治療を終えた。鹿児島を拠点に講演、病院訪問、動画サイトの配信など幅広く活動。父・真之さんも元プロ野球選手。著書に「奇跡のバックホーム」(幻冬舎)。
2023年7月18日死去、28歳。
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