部員30人乗りバス横転 10人搬送 離合も困難な山道…「なぜこんな細い道を」保護者ら運行会社に戸惑い 鹿児島市

 2023/08/20 08:27
道路脇に転落した観光バス=19日午後0時10分ごろ、鹿児島市春山町
道路脇に転落した観光バス=19日午後0時10分ごろ、鹿児島市春山町
 なぜこんな細い道を-。鹿児島市春山町の県道で19日、国分高校サッカー部員30人が乗ったバスが横転し10人が搬送された。安全を優先しバス運行会社を利用したにもかかわらず発生した事故。生徒や保護者らは戸惑い、学校側は対応に追われた。

 県道は一時立ち入りが規制された。事故の知らせを受けた保護者が次々と訪れ、「状況を教えてほしい」と警察官に尋ねる姿も。保護者の1人は「元気に送り出したばかりだったのに。なぜこんな細い道を通ってしまったのか。けがをしている生徒が気掛かり」と不安そうに話した。

 現場は幹線道から離れており、離合も困難な山道。近くに住む池田健一さん(60)は「普通車でも最徐行で走る。水気も多く滑りやすい上に見通しも悪い」。大型バスが通ったことが信じられない様子だった。

 霧島市の国分高校には午後2時ごろ、搬送されなかった生徒を乗せたバスが到着。学校側は保護者に「体調に異変を感じていない生徒も念のため受診した方がいい」と伝え、市内の病院を複数紹介した。カウンセリングを希望する生徒に対応するよう、県教育委員会に相談した。

 同校は安全対策のため、部活などで長距離移動する際は、教職員が送迎せず業者を必ず利用するようにしている。

 今回もサッカー部の顧問がバス会社に試合会場までのルートを事前に説明していた。福留和宏校長は「事故の発生に困惑している。けがをした生徒ができるだけ早く回復できるように全力を尽くす」と話した。