深夜になって「県と市の発表は伝えた内容と異なる」…米軍機MQ9オーバラン巡り、防衛省の情報発信“迷走” 海自鹿屋基地

 2023/09/12 11:33
駐機場に止まる米軍無人機MQ9=7日午前、鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地
駐機場に止まる米軍無人機MQ9=7日午前、鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地
 海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)で米軍無人偵察機MQ9が滑走路を外れたオーバランを巡り、防衛省の情報発信が迷走している。地元に伝えたとする情報の認識に食い違いがあり、同省が地元の発表内容に訂正を求めるなど、ちぐはぐな対応が目立つ。12日でオーバーランから3週間。当事者の米軍は黙ったままだ。

 8日夕、県と鹿屋市は「無人機が事故の原因究明のため滑走する可能性がある。詳細は九州防衛局が応じる」と発表した。

 防衛局は同日、取材に対し、当初「それ以上の情報はない」としたが、深夜になって「(県と市の発表は)防衛局が伝えた内容と異なる」と修正。滑走の再開は既に行われていたことが分かり、県と市にも伝えたとした。

 県、市によると、発表後に同局からメールがあり、滑走の再開を知ったという。県危機管理課は「1報と2報の間に何があったか同局に問い合わせているが、理解できていない状況だ」と困惑する。防衛省側が「滑走再開」を報道各社に説明したとして、発表内容は訂正しなかった。

 市政策推進課は「1次情報は国しか知り得ない。地元住民のために迅速な対応がないと困る」と頭を抱える。8、9日に九州防衛局へ滑走の頻度や時間を問い合わせたが、11日夕方までに回答はないという。

 3者の認識のずれは頻発している。市はオーバーラン3日後の8月25日、同局から「事故の調査結果を地元に説明するまで無人機運用を行わない」とする米軍の回答を受けたとしているが、県はこの回答を把握しておらず、同局へ問い合わせたという。

 同局は取材に、米軍回答を地元に説明したかを含め「詳細の回答は差し控える」とした。

 対応が遅れ、説明内容が微妙に変わるのは、同局と防衛省担当課、さらに米軍との間で複数の調整や決裁があるためとみられる。在日米軍司令部は一連の詳細を「回答準備中」とした。

 国士舘大の中林啓修准教授(危機管理)は「米軍が絡むトラブルは調整する関係機関が特に多い。基地外の事故などが起これば、さらに複雑になる」と指摘。「不安定な情報発信はあらぬ不安を生む。情報共有のあり方を見直す機会にすべきだ」と話した。