かつての戦闘機…魚群に包まれ 屋久島沖の海底に眠る「ゼロ戦」 魚群が機体包む幻想世界、ダイビングの名所に

 2023/09/14 07:27
砂地に沈む旧日本陸軍戦闘機とみられる機体の一部。戦後78年がたち、無数の魚のすみかとなっている=13日、屋久島町一湊沖
砂地に沈む旧日本陸軍戦闘機とみられる機体の一部。戦後78年がたち、無数の魚のすみかとなっている=13日、屋久島町一湊沖
 鹿児島県屋久島町一湊の沖合に、太平洋戦争時の旧日本軍機のエンジンが沈んでいることから「ゼロ戦」と名付けられたダイビングポイントがある。陸軍の戦闘機「疾風(はやて)」とみられており、戦後78年がたった今、多くの魚が命を育む魚礁の役割を果たしていた。

 海況に恵まれた13日、水深約20メートルのポイントに潜った。一面砂地の海底に1枚のプロペラが墓標のように立つ。無数の魚が群がる様子は、機体を包み隠すベールを思わせ、幻想的な雰囲気を醸し出していた。

 実機を展示している知覧特攻平和会館(南九州市)によると、疾風は1944年に完成し、3500機余が製造された。主に護衛や迎撃の任務を担った一方、戦争末期は特攻機に駆り出され、知覧基地からも出撃した。