「生計の実態調べて」と求めても応じず…鹿児島市の児童扶養手当支給停止処分、行政不服審査会が「不当」と判断
2023/09/15 11:12

鹿児島市役所
答申は8月22日付。答申書などによると、市は2022年10月31日付で、小学生1人(当時)を育てる女性への児童扶養手当を停止。女性は同11月、県に処分の取り消しを求め審査請求した。県は翌4月、弁護士など第三者でつくる審査会に諮問。市の処分に不当な点はないとして請求棄却を主張していた。
児童扶養手当は、低所得のひとり親らを対象とする。停止処分の理由は、同居する親族と生計を共にしているとみなし、その親族の所得が一定額を超えたためとしていた。
女性は代理人を通じ、生計は別だとして実態調査を市に求めていた。国の事務処理マニュアルは、同一生計でないことについて十分な判断材料がなければ、実態調査を行うとしている。市が調査をしないまま支給を停止した対応が、不当、違法かが論点となった。
審査会は、代理人が市に調査を申し入れたことで、生計が別だという可能性が示唆されるとし「本人の意向を確認し、調査の上で判断すべきだ」と不当性を認めた。審査中に女性側が確認したところ、支給停止の根拠となった親族の源泉徴収票が誤っていたことが発覚した。
県は答申を受け女性の請求の取り扱いを裁決し、結果を同市へ送付する。市こども福祉課は「最終的な判断について正式な文書がなくコメントできない」とした。
■「丁寧に話を聞いてほしい」
鹿児島市による児童扶養手当の支給停止処分取り消しを求めた30代女性は、県行政不服審査会の判断に「少し先に進み、希望が見えた」と話した。実態調査に応じなかった市の対応には「制度についてよく説明し、一人一人の話を丁寧に聞いてほしい」と求めた。
支給停止後、子どもは小学校を卒業し、中学校に入学。通学用のかばんや体操服は親戚やその友人に頼み、お下がりを調達した。部活に入り出費は増えたが、「友達と同じような学校生活を送ってほしい」。
結果的に支給停止の根拠となった源泉徴収票が誤っていた。「調査してくれれば、すぐに分かったはずなのに」と問題視した。
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