「選手になるとは思ってもみなかった…」 卓球からトランポリンへ転身、地元開催の国体で決勝進出狙う

 2023/09/18 08:00
子どもたちに、トランポリンの魅力を伝える男子代表の中村晋也さん=9月上旬、姶良市のビーラインスポーツパーク姶良体育館
子どもたちに、トランポリンの魅力を伝える男子代表の中村晋也さん=9月上旬、姶良市のビーラインスポーツパーク姶良体育館
 18日に鹿児島市の西原商会アリーナで開かれる鹿児島国体・会期前競技のトランポリン。正式種目に採用されて4年がたつが、一般の認知度はまだ低い。「多くの人に魅力を知ってもらい、次代を担う選手が出てほしい」。男子代表で県内唯一の専門スポーツクラブの指導員を務める中村晋也さん(26)=霧島市=は、期待を胸に地元開催の大舞台へ臨む。

 「つま先まで伸ばして」。器具の上で元気よく跳びはねる子どもたちに、優しく声をかけた。9月上旬、姶良市のビーラインスポーツパーク姶良体育館であった「トランポリンクラブRARA」(皿良五夫代表)の教室。約1時間かけ、さまざまな体勢での跳び方や滞空時間を延ばすコツをアドバイスした。

 トランポリンは楽しみながら、バランス感覚や体幹を鍛えることができる生涯スポーツだ。「RARA」は県内5市で活動し、幼児から75歳までの約330人が所属する。2011年の設立時と比べ裾野は広がったが、大会出場を目指す競技コースの選手は10人ほどにとどまる。

 今は指導する立場にある中村さんも、本格的に打ち込んだのは大学生になってから。霧島市出身で、小学生の頃に地元のトランポリンスポーツ少年団に所属していた。だが、中学、高校時代は卓球部で過ごし「将来、選手になるとは思ってもみなかった」。

 当初、2020年に開催予定だった鹿児島国体が転機となった。代表候補となる選手が少ないと知り「頑張れば出場できるかも」と競技と向き合う。少年団時代の指導者がいる「RARA」で練習を再開。宙を舞う感覚は体が覚えていた。

 競技は6、7メートル近く跳び上がり、10種類の技を連続でこなして技の難度や美しさを審査する。全国舞台で通用する技や安定性を身に付けるには、時間やけがとの戦いが続いた。3年延期となっても気持ちは揺るがない。「一発勝負の緊張感の中、難しい技を決められた時の達成感」に魅せられ、昨秋の栃木国体で初めて本大会の切符を手にするまで成長した。

 地元大会では、前回果たせなかった決勝進出を目標に掲げる。会場には、教室の生徒たちも大勢観戦に訪れるはずだ。「最後までミスなく、子どもたちの目標となるような演技をしたい」。文字通り飛躍した姿を見せ、競技の魅力も発信するつもりだ。