介護施設に津波シェルター設置 海岸から700m、南海トラフ巨大地震に備え 最大30人避難、水に浮く構造 宮崎市

 2023/09/19 08:03
メーカーの担当者(左)からシェルターの機能の説明を受ける「ほほえみの園ヒストリア前浜」の職員=宮崎市阿波岐原町
メーカーの担当者(左)からシェルターの機能の説明を受ける「ほほえみの園ヒストリア前浜」の職員=宮崎市阿波岐原町
 宮崎県南部や鹿児島県曽於市で事業を展開する社会福祉法人スマイリング・パーク(本部・宮崎県都城市、山田一久理事長)は13日、海に近い宮崎市阿波岐原町にある小規模多機能型居宅介護施設「ほほえみの園ヒストリア前浜」の敷地内に、津波対策用のシェルターを設置した。最大30人が避難できる。

 同市で初の施設として4月開設したヒストリア前浜は、一ツ葉海岸から直線距離で700メートルしか離れていない平地にある。スマイリング・パークによると、現時点で津波浸水区域には指定されていないが、南海トラフ巨大地震では、10メートル以上の津波の来襲が予想されることから、対策としてシェルター設置を決めた。

 シェルターはタジマモーターコーポレーション(静岡県磐田市)製で全長約6メートル、重さ1.3トンの箱型。漁船などと同じ繊維強化プラスチック(FRP)でできており、津波に流されても、水に浮いて中に避難した人を守る仕組み。太陽光で蓄電する非常用電源や簡易トイレも備える。設置費用は約1000万円。

 スマイリング・パークは13日、地域住民らにシェルターをお披露目した。猪野裕施設長は「利用者には要介護度の高い方も多く、勤務者が少ない夜間などの避難には不安があった。利用者にも働く人間にも安心感がある」と話した。

 タジマ社によると、宮崎県内のシェルター納入実績は4件目。介護施設では日南市の施設に続き2例目という。鹿児島県では、鹿児島市桜島の1企業が導入している。