総額1000万円超 市民球場に球速表示計を寄付 今回で3カ所目 愛知から移住、81歳の愛工大名電OB 高校球児への思い 鹿児島

 2023/09/21 18:00
電光掲示板に取り付けられる球速表示計=鴨池市民球場
電光掲示板に取り付けられる球速表示計=鴨池市民球場
 鹿児島市の鴨池市民球場に、投手の球速を測定して表示する機器(スピードガン)がセンターのスコアボードとバックネットに設置される。1989年に完成した同球場には、これまでスピードガンはなかった。6年前に愛知県から鹿児島県徳之島に移住した川村幹弘さん(81)が鹿児島市に寄付を申し出て、機器を購入するに至った。川村さんは「球速が出ることで応援する人もさらに楽しめる。一球一球ボールを集中して見てくれるはずだ」と期待する。

 名古屋市出身の川村さんは、愛知工業大学名電高校(愛工大名電)の卒業生。徳之島への移住は「寒いのが苦手。名古屋の冬は寒い。徳之島は10度までしか下がらない」と気候を気に入り、「子どもたちの無邪気さにも魅力を感じる」と島の生活を満喫している。母校愛も強く、愛工大名電野球部を年に一度、徳之島へ招き合宿をしてもらっているという。

 鹿児島の高校球児への思い入れも強く、これまで徳之島町、奄美市にも寄付し、それぞれの球場にスピードガンが導入された。鹿児島市スポーツ課の東上床隆課長は「機器の総額は1千万円以上する。これまで桜の木などの寄付などはあったが、備品は初めて。市や利用者にとって非常にありがたい」と喜ぶ。県高校野球連盟の山内昭人理事長は「球速表示が出ることで、投手も自己記録を打ち破るぞという気持ちになるはずだ」と感謝する。

 鴨池市民球場への設置は21日までに終わる見込みで、機器をお披露目する試合・鹿児島実高-鹿児島商高は22日午後2時20分からある。観戦無料。

 川村さんも、両校の熱戦を見届ける予定だ。「鹿児島県はプロ野球で活躍する選手が多くいる。導入することで球児たちのレベルアップにつながればうれしい」とエールを送った。