運賃は?乗り継ぎは?定期券は?…来月1日から値上げの鹿児島市営バス 変更点をまとめてみた

 2023/09/26 17:21
10月1日から乗り継ぎ割引が拡充される市営バス=鹿児島市易居町
10月1日から乗り継ぎ割引が拡充される市営バス=鹿児島市易居町
 鹿児島市営バスの料金が、10月1日から大人一律230円(小児120円)になる。それに伴い乗り継ぎ割引額も増え、IC乗車カード「ラピカ」を使うと、市バス利用から1時間内に1回であれば、市バス・市電への乗り継ぎは無料となる。乗り継ぎの金銭負担を軽減し、新たな利用者獲得につなげる狙い。改定後の主な変更点をまとめた。

 市交通局によると、市バスから1時間内に市バスや市電に乗り継いだ場合、運賃は1回目のバス代230円のみ。伊敷からJR鹿児島中央駅で乗り継ぎ、谷山に行くのも230円だ。市電から市バスに乗り継ぐ場合は、市バス運賃から市電運賃170円を引いた差額の60円で乗れる。

 現行では、市バス間を乗り継ぐ場合、運賃合算額の5%相当を割引。市電との乗り継ぎは合算額からマイナス60円で、改定後は乗り継ぐ人の多くが安くなる。ただし2回目の乗り継ぎには適用されず、新たに市バス230円、市電170円が必要になる。

 これまで乗り継ぎの利便性拡大は課題の一つだった。2021年度、ラピカを使う市バスと市電の利用者のうち、乗り継ぐ人は全体のわずか4%。乗り継ぐことで運賃が高くなるとして、長距離移動に公共交通機関を使ってこなかった人を取り込む狙いもある。

 定期券(片道定期券を除く)のサービスも広がる。従来の区間指定から、市電も含めて全線どこでも乗り降り自由になる。改定前に購入していた定期券は、10月1日以降、全線対応に自動で切り替わる。

 料金は購入日時点の運賃が反映される。改定後は通勤で大人1カ月9660円、通学で同6900円。値上がりする人は改定前、値下がりする人は改定後の購入がお得だ。定期券は使用開始日の2週間前の同じ曜日から購入できる。

 一方、市が市内在住の70歳以上を対象に運賃を3分の1にしている敬老パスは、市バスはこれまで40~170円だったのが来月から一律70円になる。市電は現行のままの50円。乗り継ぎ割引は、これまで通り適用されない。

■民間路線を利用する市民は「不平等だ」

 今回の料金改定では、1時間以内の乗り継ぎであっても、民間バスの利用や、途中で民間バス会社の窓口でICカードに積み増しした場合、割引は適用されない。民間路線しか走っていない地域の住民からは「不平等では」と不満の声も聞かれる。

 市バス路線がない西郷団地7丁目に住む男性は、「民間のみが運行する地域の人は、これまでも市バス・市電への乗り継ぎ割引は受けられていない。同じ市民でありながらサービスに差が出るのは不平等ではないか」と疑問視。「公共交通の利用者が減る中、民間と連携し割引くことで乗客増につながるのでは」と指摘する。

 市は経営改善を目的に2020、21年に計20路線を民間移譲した。元々市バスが走っていたが、途中から民間運行となった地域も割引は適用外だ。

 市交通局は割引に関して民間との連携は「難しいのが現状」と理解を求める。運賃収入をどう分配するかといった問題があり、市バスばかりでなく、民間側の収入が激減する可能性があるとしている。

■均一運賃 鹿児島市交通局は、現行120~520円の市営バスの大人料金を10月1日から全区間一律230円(小児120円)にする。6月定例市議会で関係条例を改正した。2021年度のラピカ利用実績による推計では、定期券も含む乗客の93.8%が220円以下区間の利用者で、事実上の値上げ。22年度は市バスのみで約2億1300万円の赤字だった。均一料金にすることで、収入増による経営立て直しを図るほか、来年1月から開始予定のクレジットカードで支払うタッチ決済の導入費抑制につなげる。改定(消費税増税を除く)は1995年以来。