水俣病特措法救済漏れ 国に初の賠償命令 鹿児島・熊本出身の原告全員に 大阪地裁判決

 2023/09/27 15:08
支援者らの前で勝訴の旗を掲げる弁護士=27日午後3時すぎ、大阪市の大阪地裁前
支援者らの前で勝訴の旗を掲げる弁護士=27日午後3時すぎ、大阪市の大阪地裁前
 水俣病特別措置法に基づく救済の対象から外れた鹿児島、熊本両県の出身者128人が国と熊本県、原因企業チッソに1人当たり450万円の損害賠償を求めた集団訴訟(近畿訴訟)の判決で、大阪地裁(達野ゆき裁判長)は27日、原告全員の請求を認め、国などに1人当たり275万円の賠償を命じた。

 特措法の救済対象外とされた1700人超の原告が全国で起こした集団訴訟で初の判決。同様の訴訟は熊本、東京、新潟の3地裁でも係争中で、今回の司法判断が注目されていた。

 2009年施行の同法は、水俣病認定患者でなくても、手足のしびれなど一定の症状があれば一時金の支給などを定めた。しかし居住地域や出生年などで対象を線引きするなどしたため、原告は不当と訴えていた。

 近畿訴訟の原告は大阪など13府県に住む51〜87歳の男女。不知火海(八代海)周辺で幼少期を過ごし、チッソが排出したメチル水銀に汚染された魚介類を日常的に食べたことで、水俣病を発症したと主張した。

 国など被告側は、発症するほどの水銀暴露はなかったと反論。症状があったとしても、賠償請求権が消滅する除斥期間(20年)が経過していると棄却を求めた。

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