鹿児島県が計画する姶良家畜保健衛生所（姶良市）の霧島市牧園町高千穂への移転を巡り、「見直しを求める住民の会」は、県議会６月定例会に提出して継続審査となっていた陳情を取り下げた。２７日の産業経済委員会で説明があり、傍聴した槐島義則代表は「計画を事実上容認せざるを得ない」と話した。

　住民の会は、観光への影響や焼却炉から出る煙・臭いを懸念し、移転先の再考を訴えてきた。陳情では、約４６００人分の署名を手渡せるよう塩田康一知事との面会を求めていた。

　面会が７月２０日に実現、２９日に３回目の住民説明会、８月に肝属家畜保健衛生所の臭気測定と代表者らへの説明があった。一連の対応を受け、住民の会は９月１８日に取り下げを決めた。

　槐島代表は「予算が通っており、移転を止めるのは難しい」としつつ、「臭気検査で無臭ではないことが分かった。臭いやクレームがある場合は誠意を持った対処を」とくぎを刺した。

　畜産課の福重哲也課長は産業経済委員会で「景観への配慮など真摯（しんし）に対応する。今後も住民と具体的に協議したい」と述べた。