脱炭素化社会へ自治体後押し 「すごい技術。公共フェリーも水素で走ればいいのに」 歩いてアプリポイント、商品券や運動靴提供実験も

 2023/10/17 11:57
日付や歩数などが表示される「SPOBY」の画面
日付や歩数などが表示される「SPOBY」の画面
 鹿児島市は、徒歩や自転車による移動で削減した二酸化炭素(CO2)の量をポイントに変換するスマートフォンアプリ「SPOBY」を使った実証実験をしている。ポイントは、抽選や先着で市内の事業者などから提供される特典と交換できる。31日まで。

 特典は、10社が提供する商品券や運動靴など。市民や市内への通勤通学者は、アプリをダウンロードしたら実験に参加できる。九州の自治体で同アプリの導入は初めてで、市はデジタル技術を使った脱炭素化の促進を図る。

 市環境政策課の平原陽子課長は「鹿児島市は渋滞も多い。自転車や徒歩を選択する人が増え、脱酸素化に向けた行動変容につながれば」と期待する。市は11月4日にJR鹿児島中央駅前広場で特典交換会を開く。

◇国体開閉式にも水素バス運行

 地球温暖化の一因とされる二酸化炭素を燃焼時に排出しない水素エネルギーについて学ぶ出前授業が16日、鹿児島市の錦江湾高校であった。水素で発電して走る燃料電池自動車2台とバス1台の展示もあり、1年生約150人が参加し、理解を深めた。

 鹿児島国体の開閉会式では、同市の南国殖産やトヨタなどが加盟する日本水素ステーションネットワーク合同会社(JHyM)が燃料電池バスを1台使って参加者を運んでいる。出前授業は、この機会に合わせて県が企画した。

 授業ではJHyMのスタッフが、二酸化炭素や水素の特徴を紹介。一方、水素で走る車の普及には、1台700~900万円という価格の高さや数億円かかる補給ステーションの建設費、認知度不足が課題だと説明した。

 普及促進に向けて生徒からは「桜島フェリーなどの公共交通機関で使っては」とのアイデアも出された。栄山海那さんは「すごい技術。地球のためにも広がってほしい」と話した。

 県によると、県内の水素ステーションは鹿児島市の1カ所のみ。水素で走る車は8月末で56台登録されている。

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