男性の自殺者は女性の2倍、悩み相談は女性の2割…「弱音吐けない」男性の思い込み背景か きょう国際男性デー

 2023/11/19 08:33
オンラインで男性からの相談に応じる佐々木浩介さん=11日、鹿児島市
オンラインで男性からの相談に応じる佐々木浩介さん=11日、鹿児島市
 19日は国際男性デー。社会的性差(ジェンダー)平等への取り組みが広がる中、無意識に「男らしさ」にとらわれがちな男性が生きづらさを抱えるケースが少なくない。鹿児島県の悩み相談窓口に男性から寄せられた件数も、6年連続で女性の約2割にとどまっている。専門家は「弱音を吐けない」という男性の思い込みが背景にあると指摘する。

 県は2003年度に窓口を設置し、悩みの内容に応じて精神保健福祉士や医師など専門の相談員につないでいる。男女共同参画推進課によると、電話相談の件数は17~22年度、女性が年1100~1500件台で推移したのに対し、男性は200~300件台。開設以来、女性の2、3割程度となっている。

 県の21年度の意識調査では、暴力や嫌がらせ被害を周囲に相談できなかった男性の割合は、女性に比べ12.4ポイント高かった。同課の瀬戸山由起子課長は「幼いころから男らしさを求められ、相談へのハードルが高くなっている」とジェンダーの影響を挙げる。

 県の相談窓口は女性専用で男性は利用できない、との誤解もあるという。同課は今月から相談の案内に、性別を問わないと注釈をつけた。

 男性相談が専門の京都橘大・浜田智崇准教授は「相談率の低さと自殺者数は関連がある」と警鐘を鳴らす。全国的に男性の自殺者は女性の2倍で、県内も同様の状況が続いている。「悩みを打ち明けられず、自分を追い込んでしまう人が多いのではないか」と分析する。

 一方、鹿児島市の臨床心理士・公認心理師の佐々木浩介さん(41)は「男性相談のニーズは高まっている」とみる。「カウンセリングが社会に浸透し、以前より悩みを打ち明けやすい環境になった。変わりたいと思っている男性が増えている」と話す。

 ジェンダー問題は女性の社会進出だけでは解決しない。浜田准教授は「みんなが多様性を尊重し、男性中心の社会から抜け出す努力が必要だ」と指摘した。

 県男女共同参画センター相談室=099(221)6630。

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