「県外選手を強化指導員に」 県からの打診断れず、地元選手は出番なく…「国体の選手選考がしこりを残す」
2023/11/19 17:28
鹿児島国体の開会式で入場する鹿児島県選手団=10月7日、鹿児島市の白波スタジアム
期待されたのが強化指導員だ。県スポーツ協会が国内トップ級の県外出身選手や県内の実力者に委嘱した非常勤職員。少年らの育成指導にも携わる。
2018年度10人でスタートし、19年度50人、本来開催予定だった20年度は93人に増えた。3年延期となり21年度は30人に減少、22年度31人、23年度77人と推移、延べ291人が活動した。契約内容によって金額は異なるが、強化指導員はおおむね年間約300万円の報酬を受け取る。
鹿児島国体は28競技に74人が出場した。50の種目・種別で入賞(団体競技も含む)して529点を獲得。合計点(参加点を除く)の約3割を占めた。地元選手からは「トップ選手と一緒に練習することでモチベーションが維持できた」「強化指導員に教えてもらったおかげで入賞できた」という声が相次いだ。鹿児島の天皇杯2位にも貢献した。
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選手選考を巡り、しこりを残した競技もある。地元選手の出場を検討していた県内のある競技団体に昨冬、県から「県外の選手を強化指導員として採用したい」という打診があった。
競技関係者は「目指していた地元選手は、その時点で入賞は厳しい実力だった。団体は強化費など支援を受けており、天皇杯獲得を掲げていた県の申し出は断れなかった」。
指導員となった選手は県外を練習拠点にしている。大会までの半年で鹿児島を訪れたのは数回、指導に携わったのは計数時間。関係者は「もっと活動する機会があれば貢献しているという実感を持てたのではないか。指導員もかわいそうだった」と、制度や運用の在り方に不信感を募らせる。
「国体開催は地方スポーツの振興を目的の一つに掲げているはず。地元選手の出場機会を大切にしてほしかった。入賞を逃しても悔しさが糧となり未来につながる」
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地元選手の選考でも混乱が生じた。6月にあった採点競技の選考会。複数の審判が出した得点の集計を男性指導者が1人で行い、この指導者の教え子が代表に選ばれ、問題視された。
男性は競技団体の強化を主導していたが、その後、体調不良を理由に役職を降りた。選考は後日あった別の大会でやり直した。
国体選手には合宿や遠征費など強化費が公金から支払われる。県の競技力向上対策費は18年度からの6年間で全競技合わせて約24億5500万円に上る。競技団体幹部は「公正・公平な選考ルールや手続きが明確になっておらず、選手たちに迷惑をかけて申し訳ない。再発防止に努めたい」と話した。
(連載「かごしま国体閉幕 燃ゆる感動次代へ」5回目より)
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