「侵攻された離島の奪還」想定 うなり上げる水陸両用車、上空からはパラシュート部隊が降下…自衛隊が徳之島訓練を公開

 2023/11/20 07:27
水陸両用車と共に上陸する水陸機動団隊員=19日、徳之島町花徳の花徳海岸
水陸両用車と共に上陸する水陸機動団隊員=19日、徳之島町花徳の花徳海岸
 防衛省統合幕僚監部は19日、徳之島で民間のサトウキビ畑への空挺(くうてい)降下や水陸両用車を使った海岸への上陸訓練を公開した。侵攻された離島の奪還を想定した統合演習の一環で、現場には物々しい雰囲気が漂った。徳之島での大規模訓練は昨年11月、今年3月の日米合同に続き3度目。

 午後2時50分ごろ、島の北西部・天城町兼久に輸送機C2とC130が数分間隔で飛来。上空を大きく4周した後、高度約300メートルから1人目が降下。パラシュートで約40秒かけ、背丈の倍ほどの高さに生い茂るサトウキビ畑の中に消えた。その後、縦列した2機は4周し、2~6人ずつの計45人を次々と降ろした。

 これに先立ち、島西部・徳之島町花徳の砂浜では水陸両用車「AAV7」を使った上陸訓練があった。沖合の輸送艦2隻から出たAAV5両は海上をゆっくりと進み、波打ち際では砂煙を上げながら一気に海岸を駆け上がった。飛び出した隊員25人はすぐに臨戦態勢をとり、住民らの立つ規制線そばで小銃を構えた。部隊は上陸と防御側に分かれ約1500人が参加。約1キロの砂浜の半分に鉄柱や鉄条網が張り巡らされた。

 別の海岸には16式機動戦闘車や10式戦車が並び、地雷を敷設する想定の演習なども実施した。上空には、陸自輸送ヘリコプターが大きなプロペラ音を響かせながら飛び交った。

 訓練は報道と住民向けに分けて公開。海岸では多くの住民が見守った。訓練は20日まで。