時計 2020/11/08 06:30

「顔合わせ、妊婦に安心を」 保健師ら全戸訪問 産科不在の南さつま市

妊婦(左)と語らう野田美代子さん(中央)と久保紀美子さん=南さつま市加世田益山
妊婦(左)と語らう野田美代子さん(中央)と久保紀美子さん=南さつま市加世田益山
 南さつま市子育て世代包括支援センターは市内の妊婦家庭の全戸訪問をして相談を受けている。同市で唯一の産科が4月に閉院。妊婦は身近に頼れる場所がなく、新型コロナウイルスで外出も控えがち。「孤立して不安に陥るのを防ぎ、妊娠期間を安心して過ごしてもらえれば」と取り組む。

 保健師の久保紀美子さん(48)、助産師の野田美代子さん(46)が4月から始めた。母子手帳を交付した210人に電話して訪問していいかを確認する。地元に産科がないこともあり、断る人はほとんどいないという。

 訪問では体調、つわりや食欲の具合、産気づいたときの準備などを尋ね、悩みに答える。利用できる産後ケアのほか、新生児連れで避難する災害時を想定した備えも助言する。原則1回で妊婦の状態によっては継続して経過をみる。

 訪問を受けた同市加世田益山の保育士六田陽香さん(31)は枕崎市の実家近くの産科へ30分かけて通院。新型コロナで買い物もはばかられ、心細い思いをした時期もあった。「何かあったらと思うと心配が尽きない。近くで見守ってもらえるのは心強い」と話した。

 移転する南さつま市の県立薩南病院は産科を開設予定だが、開院は2年後になる。久保さんらは「顔を合わせれば不安をタイムリーに打ち明けてくれる」と語る。県子ども家庭課によると県内では同市を含め10市町村が全戸訪問している。