時計 2020/11/22 17:00

無人野菜販売所持ち去り多発 「良心と信頼で成り立っているのに…」 やむなく対策、生産者のやるせなさ

自宅前で無人販売所を営む生産者=鹿児島市犬迫町
自宅前で無人販売所を営む生産者=鹿児島市犬迫町
 鹿児島県内の無人野菜販売所で、品物の持ち去りが多発しているという読者の声が南日本新聞社に届いた。生産者は防犯カメラを設置するなど自衛手段を講じている。安さと手軽さで人気の根強い無人販売所だが、「互いの良心と信頼で成り立っているのに悲しい」と悩み、失望する生産者も少なくない。

 鹿児島市と日置市を結ぶ県道徳重横井鹿児島線沿いには多くの無人販売所が立ち並ぶ。収穫したばかりの野菜や果物、切り花などが屋根付きの棚に並べられ、市価より安い。

 店番はおらず、料金箱に代金を入れる仕組み。だが、お金を払わなかったり、1円や5円を入れて“払った”ことにするなど、悪質な事例が目立ち、売上金不足に悩む生産者は多い。

 鹿児島市犬迫町の久保光徳さん(76)は、定年後に野菜作りを始め、「旬の野菜を多くの人に食べてほしい」と、自宅前で無人販売所を開いている。

 しかし、久保さんも大量に野菜を持ち去られたことがある。「無人販売は利用者と生産者の信頼で成り立っているのに残念」と肩を落とす。

 近くの無人販売所に無農薬野菜を出す80代女性は「利用者に感謝しながら野菜作りに励んでいる。無人だから持ち去りは仕方ないのだろうか」と寂しそうな表情を浮かべた。生産者は高齢者が多く悪質な行為に販売所をやめる人もいるという。

 生産者も手をこまねいているわけではない。「お金は正しく入れてください」と張り紙でやんわりと注意を促したり、中には大きな文字で「ちゃんとお金を払って買ってください」と怒りが伝わるストレートな呼び掛けを行う販売所もある。料金箱の前に大きな鏡を置いて利用者自身の姿を映し、“良心に訴える”パターンもある。

 霧島市福島2丁目の市来泰雄さん(69)は、1年前自宅敷地にある無人販売所に防犯カメラを設置した。「無断持ち去りなどによる料金不足に悩んだ末に取りつけた」という。設置してから売り上げは合うようになった。

 生産者から相談を受け、近くの交番が見回りをしているケースもある。故意か、過失かの判断など難しい面もあるが、鹿児島県警生活安全企画課は「無人販売所から野菜を持ち去る行為は窃盗罪にあたる」として安易な気持ちでの行動に警告を鳴らしている。

※2020年3月7日付掲載