
硫黄島の戦没者遺骨 父だった 収集参加の長男、判明前に他界 故郷の墓で“再会”へ

市街地と東シナ海を望む吉尾家の墓=いちき串木野市照島の木原墓地
均さんは10代の頃から、旧鹿児島市汐見町の米・雑穀卸売店で働いていた。戦争による食糧難の時代、米など主要な食べ物を国民に配給する食糧営団に店が供出され、営団職員になった。
店の創業者の孫で、旧制鹿児島二中(現甲南高校)に在籍していた海江田順三郎さん(92)=同市武2丁目=は「均さんは明るい性格で従業員の信頼も厚かった。店の供出後、『あんたが大将になるまで働きたかった。時代が変わり思うようにならない』と声を掛けられた」と振り返る。
1943(昭和18)年12月、妻と2人の幼子を残し召集。45年2月24日、硫黄島で戦死したとされる。その間、家族の安否を気遣う手紙を送っていた。
厚生労働省によると、均さんの遺骨は2010年度に硫黄島中央部の集団埋葬地近くで見つかっていた。昨年4月から遺族の申請があれば、硫黄島で収集された戦没者遺骨をDNA鑑定できるようになり、6月に修一郎さんの試料を採取。父子関係にあると12月に判断された。
修一郎さんは、均さんが召集される約4カ月前、同市で生まれた。高校まで県内で過ごし東京の大学へ進学。大阪などで働いた。40歳の頃に墓を整理したら均さんの遺品が何もなく、「遺骨を入れてあげたい」と考えたことが収集活動を始めたきっかけだった。
昨夏は新型コロナウイルス禍と自身の肺がんのため断念。主治医に「もう1回、硫黄島へ行きたい」と訴え続けながら、9月29日に息を引き取った。妻のかず子さん(70)は「遺骨の一つ一つをおやじと思い、土やほこりを払い落としたと語っていた」と明かす。
約4カ月後の1月26日、遺骨の身元特定を伝える電話が厚労省からかず子さんに入った。「奇跡みたいでびっくりした。もう少し早ければ、夫がどれだけ喜んだことか」。修一郎さんの姉の井貝侑子さん(80)=奈良県大和郡山市=も「あれだけ頑張っていた弟には生きているうちに伝えたかった」と悔やむ。
かず子さんの元に遺骨が届いたのは今月12日。均さんが戦死した24日に合わせ、遺族は大阪の寺で供養する。修一郎さんの三回忌をめどに父子の遺骨を吉尾家の墓に移す。
均さんのおいで、墓を守る吉尾逸郎さん(72)は「息子とともにようやく地元へ帰ってくる。戦地から戻っていない県出身者はまだまだ多く、均さんの帰郷が他の遺族の希望になってほしい」と語った。
【戦没者遺骨のDNA鑑定】厚生労働省は2017年度から遺留品や埋葬者名簿など身元特定につながる情報がない戦没者遺骨をDNA鑑定している。当初、沖縄県の一部に限っていたが、昨年4月、硫黄島(東京)と南太平洋キリバスのタラワ環礁で収集された遺骨も対象に加えた。同8~9月にキリバスの2柱、同12月に吉尾均さんを含む硫黄島の2柱の身元が判明した。10月ごろから地域制限をなくし、鑑定希望の遺族を募る方針。遺骨のDNA鑑定自体は03年度から実施している。身元を推察できる遺品などがあることが前提だった。
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