時計 2021/02/25 13:00

昭和のツルの里、精巧ジオラマ10年がかり 番小屋、わらぶき民家…リアルに再現 鹿児島・出水

わらぶきの民家のジオラマを説明する白石保さん=出水市文化町
わらぶきの民家のジオラマを説明する白石保さん=出水市文化町
 わらぶきの民家と畑を荒らすツルににらみを利かせる番小屋-。出水市文化町のクレインパークいずみに、昭和30年代のツル渡来地の風景を再現した精巧なジオラマが展示されている。制作した同市高尾野町下水流の金属加工業白石保さん(71)は「昔を知る人は少なくなった。当時の生活の様子を知ってほしい」と語る。

 白石さんは渡来地の荒崎干拓地近くで育ち、子どもの頃はツル保護監視員として尽力した故・岡田孫市さんについて回った経験を持つ。還暦を迎え、昔の生活を伝えたいとジオラマ作りを始めた。

 50分の1サイズの民家は1960年ごろの生家をイメージした。制作に10年近くかけた力作。屋根には本物のわらを使い、一部は火で焼いて古びた雰囲気を出した。縦45センチ、横55センチのスペースに、近所にあった金毘羅神社も再現した。2年前に展示を始め、手入れしながら農具や少年時代のおもちゃを追加している。

 1月には、無料スペースに番小屋が登場した。戦後間もない頃、ツルの食害を防ごうと警戒する住民が冬場にわらで作った円すい形の風よけ。20分の1サイズで、土台を入れて高さ13センチに仕上げた。白石さんは実物を見た覚えがなく、地元の古老に聞き取りをした。ツルを追い払う旗や、たたいて音を出す一斗缶などを添えている。3月21日まで展示予定。

 民家のジオラマは有料の展示コーナーにある。同館は「当時を忠実に再現している。渡来地でのツルと人の関わりの歴史を実感してもらえたら」としている。