【令和決戦の構図・衆院選鹿児島1区】戦後初の与野党一騎打ち いずれの組織も一枚岩とは言えず
2021/10/16 07:39

市民グループ「衆院選での市民・野党共闘をめざすALLかごしまの会」は10日、鹿児島市で野党立候補予定者4人と共通政策を結び、野党共闘の歯車がようやく動き出した。
「より大きな固まりができた。みんなの努力を勝利という形で結実させる」。立憲民主前職の川内博史氏(59)は会見で、政権交代へ決意を語った。野党間で候補者を一本化し、4区のすみ分けは固まった。県都1区は戦後初めて与野党の一騎打ちとなる見込みだ。
国会では政府の新型コロナウイルス対策や森友・加計問題の黒塗り文書を追及。政調会長代行として、党の政策づくりにも携わる。立候補は10度目だ。「正直言って政権交代の時より反応がいい」。初の1区連勝に向け、手応えをつかむ。
民主党政権が誕生した2009年は11万7000票を得た。「あのときは政権交代への期待だった。今はみんなが怒っている」。コロナ下の困窮者、弱い立場の人のためにこそ政治の力は必要と訴える。
懸念材料もある。立民の県連設立は8月末。役員人事を巡り旧立民側と旧国民側の意思疎通が進まず、全国で唯一、県組織のない状態が半年間続いた。党本部が介入し総選挙には間に合ったものの、支持組織の連合鹿児島を含め一丸となって戦う態勢とは言いがたい。連合傘下の労連幹部は「県連ができたことすら聞いていない。組合員に川内氏を応援するよう伝えたが、どこまで本気でできるだろうか」と首をひねる。
一方、自民にとって1区は前回唯一、「保守王国」で議席を落とした選挙区だ。10月9日の選対会議で、前職の宮路拓馬氏(41)は「議席奪還は至上命題。保岡宏武氏と一つになり、死力を尽くす」と力を込めた。公認を3年10カ月にわたって争い、比例九州に回った保岡氏(48)は「しっかり1区を応援する。その思いに一点の曇りもない」と言い切った。
ただ保岡氏を応援する一部の支持者は、宮路氏への選挙協力に態度を硬化させる。県議の一人は「支持者の受け止めに今も温度差がある。一枚岩になって選挙に臨む雰囲気ではない」と漏らす。県連は保岡氏陣営の協力が不可欠として、てこ入れ策の一環で比例名簿上位にするよう党本部へ重ねて申し入れた。
総務政務官を務めた宮路氏は携帯料金引き下げ、ワクチン接種推進の目玉政策に携わった実績を強調。ライフワークとする女性活躍や障害者福祉の政策にふれ、浮動票取り込みにも活路を見いだす。
公認を機に組織戦も本格化させた。保岡氏や県議らが同行、企業や業界団体を回る。ある陣営幹部は「元々は友好団体。徐々に心の整理をつけ、やはり自民しかないとの雰囲気が出てきた」。
周辺では「野党が議席を取れば、仕事は増えない」との訴えも強めているという。主な業界団体は宮路氏推薦を決定。従来型の組織固めに余念はない。
必勝を期し、ある自民幹部が明かす。「次の世代の議員を育てる時期に来ている。宮路氏が1区で勝たなければ、保岡氏と公認を巡って延々と争いかねない。次の選挙にも確実に響き県内全体の行く末に関わる」
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