宅配が副業の美容室経営者。時短協力金で潤った、酒を出し続けた店もあった。新型コロナで見えた現実。「政治は困っている人に目を向けていない。正直者がばかを見る」 2021衆院選鹿児島

 2021/10/16 07:45
 新型コロナウイルス禍の持続化給付金や営業時間短縮要請に応じた協力金などの対象から漏れた困窮者は鹿児島県内にも少なくない。本業の収入が激減して副業で何とか日々食いつないでいる美容師、頼みのアルバイト収入が途絶えた学生。きめ細やかな支援を求めながらも、31日の衆院選投開票に向けて奔走する候補者に冷めた目を向ける。

 14日午後10時半ごろ、鹿児島市で美容室を営む40代の男性は閉店後にバイクを走らせ、天文館の飲食店に向かった。宅配代行のアルバイトのためだ。2月から始めて夜を基本に週6回、昼間も入ることがある。

 開業して13年目。新型コロナで常連客の来店回数が激減し、半分以下の売り上げに。家賃など固定費を払うとほとんど残らない。何度も閉店を考えたが、「来てくれる常連さんがいる限り何とか店を続けたい」と歯を食いしばってきた。

 鹿児島県に適用されていた「まん延防止等重点措置」に伴う時短要請の協力金で潤い、むしろ期間延長を望む店、そもそも時短や酒類提供停止要請を無視する店…。副業を通してさまざまな現実を見聞きしてきた。

 全ての対象者がそうではないと理解しているとはいえ、どうしても納得できない。「正直者がばかを見るよう。なぜ自分は報われないのか」とやるせなさをにじませる。

 これまで選挙は毎回欠かさず1票を投じてきた。だが今の政治を見ていたら諦めの気持ちが強くなるだけだ。「本当に困っている人に目が向いていない。金をばらまくだけで期待できない」

 鹿児島大学4年の男性(23)=同市上之園町=は2月、居酒屋などで客にたばこを勧めるアルバイトが全くなくなった。

 月6、7万円ほど収入があった当時、6割を生活費、残りを学外のオンライン教育サービスや書籍購入に充ててきた。来春からIT業界に就職するため大学で学べない技術を習得したかったからだ。

 現在は親からのわずかな仕送りだけが頼り。料金を払えず、同サービスの利用は諦めた。コロナ禍で生活が困窮する学生に対する早急な支援を政治家に求める。「学生は勉強するのが仕事。金がなくて学業がおろそかになる自分と同じ立場の若者を助けて」と訴える。