〈衆院選 令和決戦の余波〉鹿児島2区 元知事・三反園氏、当選直後に自民入り意向 すっきりノーサイドとはいかず
2021/11/05 08:33

指宿カラーのジャンパーを着せてもらう三反園訓氏=2日、指宿市役所
2日午前11時すぎ、指宿市役所。鹿児島2区で初当選を決め、地元へあいさつに訪れた元知事の三反園訓氏(63)は出迎えた職員や支持者に笑顔で応えた。
観光と農業の街は、新型コロナウイルスの影響で経済が疲弊し、サツマイモ基腐(もとぐされ)病に苦しむ。豊留悦男市長は「自民とはいろいろあったようだが、終わればノーサイド。指宿の観光大使として活躍して」とエールを送る。
持ち前のフットワークを生かし、早くも選挙区内を走り回る三反園氏。ただ当選が決まった直後に「自民党員に応援してもらい当選できた。考え方も近い」と、自民入りに意欲を示したことが波紋を広げている。
同じ頃、2区で敗れた自民前職の金子万寿夫氏(74)は進退について「落ち着いて考えたい。改めて伝える機会を設ける」と明言を避けていた。
「心情的に今日明日入れるはずがない。なぜ対立構図をつくるのか」(自民県議)と明かすなど、フライング気味の意思表示は関係者の間を駆け巡った。
■不快感
1日未明、自民党県連の森山裕会長が報道陣の取材に応じた。「当選したからといって、自民の対立候補が公認申請することはないだろうと思う」と不快感をあらわにした。
発言を受け三反園氏は軌道修正に追われた。無所属のまま自民会派に所属し静岡5区を制した細野豪志氏を引き合いに「自民入りを決めたわけでなく、さまざまな活動の仕方がある」と釈明。それでも関係者の多くは「本音は自民党に入りたいはず」と口をそろえる。
三反園氏は選挙戦で東京・永田町人脈を中心に訴えた。挙げた名前はテレビ局記者時代から親交があるとされる元自民幹事長の二階俊博氏や高市早苗政調会長ら。岸田文雄首相とは大学の同窓だったことなど政権中枢とのパイプを強調し「今ならすぐ仕事ができる」とアピールし続けた。
■禅譲
金子氏の地元・奄美での受け止めはさまざまだ。ある自民関係者は「本人が入りたければ認めればいい」。地方議員は「これだけ激しく争えば感情的に無理な人はいる」と明かす。
複数の関係者によると、激戦が伝えられた選挙戦最終盤、奄美の保守層に影響力がある元自民衆院議員の徳田毅氏が「三反園氏支援」を打ち出し号令をかけたという。側近は「奄美の活性化と若返りが理由」とし、「三反園氏の自民入りを拒めば地域の支持組織が割れる」と懸念する。
仮に金子氏が勇退した場合、後継に比例九州で初当選した保岡宏武氏(48)を推す声もある。選挙区を希望するが行き場はない状況だ。法相を務めた父親の故・興治氏は奄美出身で、かつて毅氏の父親である虎雄氏と「保徳戦争」を繰り広げた。
今でも保岡家とつながりのある有権者は多い。永田町では公示前から興治氏の秘書だった金子氏から宏武氏に“禅譲”するとの臆測が飛び交った。ある自民県議は「来年は参院選も控えている。対応を間違えば党員は離れていく」とくぎを刺す。
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