〈衆院選 令和決戦の余波〉鹿児島4区 保守王国の象徴 大ベテラン森山氏の後継見当たらず

 2021/11/07 08:37
農政関係者に当選の感謝を伝える森山裕氏=1日、霧島市隼人
農政関係者に当選の感謝を伝える森山裕氏=1日、霧島市隼人
 衆院選から間もない4日、自民の森山裕氏(76)の姿は東京・永田町にあった。所属する石原派の石原伸晃会長(東京8区)が落選し、派閥再編がささやかれる中、石原氏や二階俊博元幹事長らと、それぞれ面会した。

 鹿児島4区での得票率は69.53%。陣営が目標に掲げた「全国トップ」には届かなかったが、7回目の当選を果たした。投開票翌日の1日、霧島市で農政関係者らにあいさつを済ませ、国の補正予算編成などのため慌ただしく鹿児島を離れた。

 この4年間、党の国会対策委員長として政権を支え続けた。国会議員秘書の経験がある県議は「法案を通すために官僚もあいさつ回りをする」と影響力を説明。選挙期間中、菅義偉前首相が駆け付け「政権の意思決定の際には必ず相談させてもらった」と感謝した。

 これまでに隼人道路4車線化や吾平大根占田代道路などの大型インフラ事業が予算化。森山氏の選対本部長を務めた田之上耕三・県議会議長は「地域が目に見えて変わった。国対委員長としての働きが有権者に評価された」と結果を振り返る。

■厚い壁

 “重鎮”に挑んだ社民新人の米永淳子氏(58)は、西之表市馬毛島の基地化反対や女性候補を前面にアピールしたものの、約7万8000票差で敗れた。望みを託した比例復活には、昨年末の立憲民主党への部分合流で党勢が縮小した影響もあり、一歩届かなかった。

 県内で初めて野党共闘を進めた中、連合鹿児島からは推薦が得られず、頼みにしていた自治労も組合員への周知にとどめた。個別の労働組合に協力を求めながらの厳しい戦い。川路孝選対委員長(74)は「知名度がない新人にとって難しい選挙戦だった」と漏らす。

 それでも前回の社民候補に迫る得票率26.84%を獲得。米永氏は「反自民票の受け皿として一定の役割は果たせた。女性に対する期待の声にも手応えを感じている」と話す。今後の活動は「白紙」としながらも議員職を諦めるつもりはない。

■依存

 大隅半島を中心とした4区は、中選挙区時代を含め二階堂進氏、橋口隆氏、山中貞則氏(いずれも故人)らを輩出した「保守王国」の象徴でもある。保守地盤を引き継いだ森山氏も76歳を迎え、政治家として集大成の時期に入っている。

 周辺からは「年齢的に今回が最後」「あと1、2回は出る」などさまざまな見方が飛び交う。森山氏は地元・鹿屋市古江での演説で「できれば長く政治活動がしたい。20年は無理かもしれないが、もう少し頑張れる気がする」と意欲を語った。

 森山氏の“後継”は4区だけでなく、鹿児島県政界の懸案でもある。国会議員の互選が慣例の県連会長は2010年から連続12期に及ぶ。ベテラン県議の一人は「予算確保のため、行政や団体はそろって『森山詣で』をしている。人材が育っていない」と危機感をあらわにする。

 異例の短期決戦となった衆院選の「余波」は当面、収まる気配がない。与野党の攻防は国会へシフトする。既に来夏の参院選を視界に捉えている。