「死の棘」「出発は遂に訪れず」…島尾敏夫の直筆原稿2000枚、国文研がネットで無料公開 加筆や推敲跡も

 2022/05/22 07:37
島尾敏雄
島尾敏雄
 国文学研究資料館(国文研、東京)は鹿児島ゆかりの作家・島尾敏雄(1917~86年)の原稿1956枚の画像をインターネット上で無料公開した。国文研が明治以降の文学者の自筆稿をデジタル化するのは初めて。作家研究の活性化を目指す。

 画像は代表作「死の棘(とげ)」や奄美での特攻体験を基にした「出発は遂(つい)に訪れず」などの原稿・下書き52点。加筆修正したりタイトルを変えたりといった推敲(すいこう)の跡が残る。

 国文研は古典や史料などの画像約22万点を館のサイトで公開してきたが、近代作家の原稿を取り上げるのは初めてという。「戦後文学をリードした島尾の創作過程が分かる資料。研究や教育に生かすため、デジタル化を決めた」と国文研の多田蔵人(くらひと)准教授。2021年度から、収蔵するかごしま近代文学館(鹿児島市)の協力や遺族の了解を得て、撮影やデータベース収録を進めた。

 原稿は順次追加し、他の作家のものも集めていく。かごしま近代文学館の吉村弥依子学芸員は「全国から誰でも見られるサイトで、資料の存在を広く知ってもらえる機会」と話した。

 国文研サイトで電子資料館「近代書誌・近代画像データベース」から検索できる。閲覧は無料だが、使用する場合は収蔵館へ申請が必要。