奄美周辺「エアレスキューの空白地帯」 ヘリ救助到着に1時間超、10管追加配備に期待 知床観光船沈没事故受け国が増強方針

 2022/08/13 10:08
 北海道・知床沖の観光船沈没事故で、ヘリコプターの現場到着が遅れたのを受け、国土交通省は海上保安庁のヘリを増強する方針だ。知床を含む北海道の東部と北部、鹿児島県奄美大島周辺は救助に向かうヘリが1時間以内に到着できない「エアレスキューの空白地帯」に当たる。奄美を管轄する第10管区海上保安本部は「ヘリが追加配備されれば救助の即応性が高まる」と期待する。

 14人が死亡、12人が行方不明になった沈没事故では、ヘリが通報から現場付近に着くまで3時間以上かかったことが問題になった。

 海保はヘリからつり上げて救助する機動救難士を全国9カ所の航空基地に配置している。国内沿岸の大半は基地から1時間以内で到着できるが、奄美大島からトカラ列島南部にかけての海域は霧島市溝辺の鹿児島航空基地から約2時間、11管の那覇航空基地(那覇市)から約1時間半かかる。

 10管は、奄美海上保安部に巡視船艇計3隻、潜水士4人を重点配置して対応しており、「負傷者や漂流者の救助が遅れたことはない」というが、遅れのリスクは常に抱える。

 「空白地帯」をカバーするため、国交省は全国13カ所の航空基地のヘリを全て3機体制にする方針を示している。

 10管によると、鹿児島航空基地にはヘリ2機、機動救難士9人が常駐する。修理や検査のほか、事故発生時に別の海域を巡回中のこともあり、常時2機稼働させるのは難しい。臨時の点検が入れば、1機も現場に急行できないこともある。

 10管の田中航二郎警備救難部長は「3機体制となれば活動の幅が広がる」と歓迎する。ただ、「ヘリを増やすだけでは距離的な問題は解決できない」とし、「鹿児島航空基地と那覇航空基地の間に、何らかの航空勢力を配備するのも一つの選択肢」と語る。