乳がんです。ショック…でも、ここから始まる 体験歌うシンガーソングライター。共感が広がっていく

 2022/10/27 21:15
「乳がんについて、知っているようで知らないことがたくさんある」と話す東郷さくらさん=鹿児島市上荒田町の「フランセ」
「乳がんについて、知っているようで知らないことがたくさんある」と話す東郷さくらさん=鹿児島市上荒田町の「フランセ」
 「これから始まる“今”がたまらなく愛(いと)しい」-。鹿児島市上荒田町のシンガー・ソングライター東郷さくらさん(48)が、自身の乳がん体験を基に作詞作曲した歌「スターティング ポイント」を10月のピンクリボン月間に合わせ、22日リリースした。「少しでも多くの人に早期発見と早期治療の大切さを伝えたい」と思いを語った。

 東郷さんは昨年10月に受けた検診で乳がんの疑いがあり、11月の再診で確定した。その間「私は大丈夫だ」「もし乳がんだったらどうしよう」と、前向き、後ろ向きの考えが入り交じり「心の浮き沈みが激しかった」と告白。医師から病名を告げられた瞬間、「目の前に薄い膜ができて、医師の話がどんどん聞こえなくなった」とショックの大きさを振り返る。

 今年1月に乳房の全摘手術を受け、3月末に自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組で公表した。間もなく両親と共に営むパン屋「フランセ」に、乳がんの体験者が訪れるようになったという。東郷さんは、「みんな悩みや経験を話したいと思っているんだ」と実感した。

 切除後に起こる可能性がある右腕のリンパ浮腫(ふしゅ)を予防するため、ギターを長時間弾かないほか、日焼けを避けるため夏でも長袖を着用するなど、自身もケアを徹底している。

 早期検査の大切さだけでなく、乳がんにかかった後の日常生活をどう注意すべきかなど、「経験したことを創作に生かしてみよう」と曲作りに取りかかった。

 術後2作目の新曲は入院期間で感じた、病室から見た景色の移り変わりや、内面の心境の変化を繊細な旋律で表現している。東郷さんは「乳がんと分かった時の複雑な気持ちを乗り越え、社会に復帰した一つの例として、同じ境遇の方々に共感してもらえる曲になったかな」とほほ笑んだ。